柳橋眞 金沢美術工芸大学大学院専任教授
高松(香川県)と輪島(石川県)の漆器産地は数多くの漆芸(しつげい)作家と人間国宝を生み出している。江戸時代後期から始まった香川漆器は知識階級を対象に、硯箱(すずりばこ)のような文房具を中心に発展した。一方、江戸時代の初めから存在していた輪島漆器(わじましっき)は黒漆塗(くろうるしぬ)りの漆椀(うるしわん)という食器から出発し、机や調度品などへと漆製品の幅を広げていった。それは一般の日本人の生活の隅々に漆器が普及していった様子をよく示している。
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