
【伝統を学ぶ】


仕舞の稽古は、先生とマンツーマンで贅沢に行われる。

声の高さが違うため、謡は男性女性別々に稽古する。

ポイントを謡本に書き込む。
張り詰めた緊張感の中で、背筋をピンと伸ばした粟谷明生(あわや・あきお)先生(人間国宝・粟谷菊生の長男)が朗々と謡い出す。受講生たちは、見台に置いた謡本に時折書き込みながら、熱心に聞き入っている。「はいっ」と先生の合図が入ると、今度は同じところを受講生が声をそろえて謡う。
謡曲の稽古は、先生の手本をまねて謡うことで進んでいく。この日はまず、女性七人が『通小町(かよいこまち)』を習った。仕舞の稽古をはさみ、後半には男性三人が『高砂』に挑戦。
「謡には絶対音がありません。男性と女性では声の高さが違うので、あえて別々に稽古しています」と粟谷先生は説明する。
仕舞を習っているのは、この日二人だけだったので、先生とマンツーマンの贅沢な稽古となった。扇ひとつの上げ下げで、感情までも表現する奥深い世界だ。「さして!」「かざして、開き!」と先生の太い声が響くなか、受講生が真剣な表情で舞う。
伝統的なものを学びたくて、5年前から講座に参加、この日『玉かずら』を舞った受講生の一人は、こう話す。
「初めは謡曲や仕舞が能に関係していることすら知りませんでした。稽古では先生から厳しい指導の声も飛びますが、ビデオで自分の姿を見返すと、指摘はやはり的確。自分の間違いをわざとまねして見せてくれるなど、丁寧に教えていただいています」
年に数回、舞台で発表の機会があり、楽しみにしているともいう。
「習うことで、能を見るときの理解が深まり、魅力がわかってきます。私自身、今でも作品が訴えていることを新たに発見して、興奮することもあるくらい。学べば学ぶほど見えてくるものがある。受講生のみなさんが能楽堂に足を運んでくれて、『よくわかった。楽しかった』と言ってくれるのが、教える何よりの喜びですね」と粟谷先生は話している。
●謡曲・仕舞(喜多流)
新宿産経学園
問い合わせ先
粟谷明生先生の講座「謡曲・仕舞(喜多流)」は、新宿産経学園(03―3343―4703)で受講できます。
〒160―0023 東京都新宿区西新宿1-5-1 小田急ハルク7F
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