
【伝統を学ぶ】


人形に眼をいれる受講生。

桐塑でできた人形の手先を成形する。


桐の挽粉(ひきこ)と糊を練り合わせてつくる桐塑(とうそ)。この材料で和人形をつくるという、伝統のわざを教えている人形作家の村岡茂さんは、自らを「人形屋」という。
「家業が人形屋だから仕方なしになったんだけど、私も多少は人形が好きなの。でも、受講生のみなさんは人形が大好きでここに来ている。人形に対する切り口や向かい方がそれぞれに違って、それが十個集まると、すごいものでね。発見が多いのよ」
開講時は「昔ながらの職人の仕事を見せます」という方針だったため、粘土状の桐塑から型をつくる職人わざのイロハを指導していた。しかし半年の受講期間内に一体を完成させることが時間的にむずかしいことが判明。そこで基本の市松(いちまつ)人形は、同じ型から抜いたものでつくることに変更した。
自由制作なので、日本髪姿やおかっぱ頭の市松人形、雛人形、干支の置物など、受講生は様々な人形を手がける。差し出されるつくりかけの人形を見て村岡先生は、「乾燥をしていくときにできるひびだから置上(おきあ)げでうめれば大丈夫」と忠告したり、創作人形のスタイルに修整を加えたりしながら、人形づくりの経験を気さくに話す。
その傍らで、息子で講師の村岡史彦(ふみひこ)さんが、塗りに使う胡粉(ごふん)と膠(にかわ)を「百叩き」という技法で練り始めた。ぼろ雑巾のようにザラザラしていたひと塊の表面が、徐々に光沢を帯びてくる。練りあがったものをベテランの受講生が湯で溶き伸ばす。受講生の動きを見守る村岡茂先生が話す。
「自分たちで材料をつくる。いい仕事をするには、いい材料を持たなきゃ。私が持って帰りたいくらいに、いい材料ができちゃうときがあるんだよ。三回に一回くらいだけどね(笑)」
胡粉に触れ、指先から流れ落ちる様子で出来上がりを判断する。奥深いわざは感触で覚えていくもの、と実感できる講座だ。
●創作・桐塑人形
朝日カルチャーセンター横浜
問い合わせ先
村岡茂・村岡史彦先生の講座「創作・桐塑人形」は、朝日カルチャーセンター横浜(045−453−1122)で受講できます。〒220−0011 横浜市西区高島2−16−1 ルミネ横浜8F
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