
【伝統を学ぶ】


窯から取り出したばかりの作品を点検。

轆轤を使う受講生にアドバイスする藤山先生。

手捻りで制作中の受講生。

できあがったばかりの器を窯から取り出すときが、最も心ときめくとき。火の命が土に吹き込められた一瞬だからだ。釉薬(ゆうやく)を使わない備前焼は、火加減ひとつで焼き上がりが微妙に違ってくる。これに魅せられた受講生の通ってくる教室が、北九州市にある備前隠れ窯「陶里宛(とうりえん)」だ。
受講生たちは、都合のつく時間にやって来て、思い思いの作品づくりに励む。
この日は、手捻(てびね)り一筋だった女性が初めて電動轆轤(ろくろ)に挑戦していた。窯元の藤山陽見(ふじやま・ようけん)先生がつきっきりで指導する。姿勢から始まって、轆轤のスピード加減、手と指の使い方まで。右手の肘を右足の膝付近に置いて固定し、両手で土を囲い込みながら、親指で土の上部をゆっくり押さえ込むと、土は思い通りになるという。
焼成(しょうせい)後に一割五分縮むのを計算に入れるのもポイントとか。「土と戯(たわむ)れながら、遊び心で作ればいいんです」と藤山先生。
釉薬を使わない点を除けば、工程はほかの焼き物作りとあまり変わらない。轆轤で成形し、鉋(かんな)や弓、柄鏝(えごて)、篦(へら)、ナイフなどで高台(こうだい)などを削り、形を整えていく。作るものも日常的に使う湯呑みや皿、徳利(とつくり)など。なかには燭台や干支の置物を作る人も。
圧巻は窯焚(た)き。窯は高さ2メートルほど、三重の耐火煉瓦造り。まず1日半から2日かけて温度を300度から350度に上げる。ここから備前(岡山県)から取り寄せた赤松の薪を使う。1束は、長さ2尺(約60センチ)くらいのものが5本。受講生の応援を得て1日3交代で7日間。温度を1200度から1230度に保ちながら、じっくり約200束焚いていく。こうしてあの独特の赤褐色の備前焼が完成する。
この窯の近くに3室からなる登り窯がある。少々古くなったのでいま解体中。だが大物を焼くには登り窯がいる。受講生も再建を望んでいるが、先生は決めかねている。
●窯元で学ぶ陶芸
朝日カルチャーセンター北九州
問い合わせ先
藤山陽見先生の講座「窯元で学ぶ陶芸」は、朝日カルチャーセンター北九州(093−521−8381)の提携教室、備前隠れ窯「陶里宛」で受講できます。〒802−0825 福岡県北九州市小倉南区横代葉山31−10
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