
【伝統を学ぶ】


受講生にアドバイスする小川先生(左)。

手轆轤で、まず焼き物の底となる土台を作る。

半乾燥させたものを篦や鉋で形を整えていく。
京焼(きょうやき)の中心地だった五条坂(ごじょうざか)に建つ文齋窯(ぶんさいがま)は、にぎやかな声に包まれていた。「楽しく作ることがモットーですから」と、にこやかに語るのは、講師の小川文齋(おがわ・ぶんさい)先生だ。
「土というのは作り手の気持ちを察するものなんです。だから一所懸命やることが重要で、一所懸命やると自分の心の内なるものが出てくる。内から出るものを作れば、楽しく、おもしろい独自な作品ができる」
先生の指導は、焼き物に対する心構えと、京焼の特徴を話すことから始まる。
「京都の聚楽第(じゅらくだい)造成のとき、千利休(せんりきゅう)がわび・さびを意匠した茶●(ちゃわん)を瓦(かわら)職人に作らせたところ、よいものができた。喜んで各地の窯(かま)に茶●を発注したところ、うまくいかない。そこで陶工たちに土地の陶土を持たせて京都へ呼び寄せ、自由に組み合わせて作らせた。面白いものができる。窯も造らせた。そして独自の焼き物が次々に作られていった。それが京焼のはじまりです」
受講して一年半までは、土ひねりやデザイン、釉薬(ゆうやく)がけなどを、課題に沿って学んでいく。まずは基本の工程から。手轆轤(てろくろ)で底になる土台を作り、手のひらで延ばしたひも状の土を土台に巻くように置き、その上にまたひもを積み重ねていく。高さが出たら、手びねりで形を整え半乾燥させる。次は篦(へら)や鉋(かんな)で削りながら仕上げ、水拭(みずぶ)きする。それを完全に乾燥させて素焼きし、絵付けや釉薬がけした後、本焼きして完成だ。
先生は受講生の出来上がった作品をチェックし、合評しながら、「ここはうまいことできたなあ」と、ほめることも忘れない。受講生の一人に一番むずかしい点はと問うと、「削りが難しいので、一番時間をかけます」との答え。すると、「私は器の底の高台作りが苦手」「お皿を真ん丸にするのも難しいよ」「僕は真っすぐの直線」と、意見が次々に飛び出した。みなさん、真摯(しんし)に土と向かい合っている姿がさわやかだ。(文中の●は怨の「心」が皿)
●京焼・文齋窯 陶芸教室
朝日カルチャーセンター京都
問い合わせ先
小川文齋先生の講座「京焼・文齋窯 陶芸教室」は、朝日カルチャーセンター京都(075−231−9693)の社外講座、文齋窯(〒605−0846 京都市東山区五条橋東6−502)で受講できます。
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