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今週のわざ長板中形と正藍染

内山武夫 前京都国立近代美術館長

 長板中形(ながいたちゅうけい)とは染色の型染技法の一つ。約6.5メートルという長い張板に生地を張りつけて、小紋よりも大きい、中くらいの大きさの文様を彫った型紙を用いて、端から次々と防染糊(ぼうせんのり)を置いていく。この表側に用いる糊には赤い顔料が入れられている。糊が乾くと生地を板からはがし、裏返して板に張り、赤く透ける表の文様に合わせて再び同様に糊を置く。これを天日で乾燥させて板からはがし、藍甕(あいがめ)で浸染する。これが本来の中形の技法で、型は一つのみを用いる場合と追っ掛け型という二つの型を用いて一つの文様をつくる場合がある。

 中形といえば中くらいの柄を意味したが、いつからか型染の木綿の浴衣を意味するようになった。地が白く、文様を藍に染めたものを地白(じしろ)ものと呼び、地を藍に染め、文様を白く抜いたものを地染りと呼ぶ。地白ものは夜用に、地染りの浴衣は昼用とする。

 かつてはこの技法で1955年(昭和30)に重要無形文化財保持者に認定された松原定吉、清水幸太郎の二人の名手がいた。

 正藍染は我が国古来の技法を伝える藍染。かつて我が国の農村では自給自足を建前とし、家族の衣料や調度は各家庭で製造され、まかなわれてきた。麻や木綿を栽培し、自らが藍を育てて、その葉を発酵させた染料のすくもをつくり、藍甕に仕込んで灰汁(あく)を入れて攪拌し、発酵させて藍を建て、糸を染める。こうした古来の藍染が宮城県栗原郡栗駒町(現・栗原市栗駒)に戦後まで伝えられていた。

 技法を伝えていたのは千葉あやので、麻の栽培、糸紡ぎ、藍染、手機での織成を内容とするが、彼女の技法の特色は、藍建(あいだて)や藍の管理に一切人工的な加熱を行わないことで、そのために気候条件が合う、夏期の2カ月だけ藍染を行う。これは古い藍染の姿を伝えるものであり、他の藍染法と区別して「正藍染」として55年に重要無形文化財保持者に認定された。

2007年03月13日

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