截金(きりかね)とは金銀箔(きんぎんはく)を細線や三角、菱形(ひしがた)などに切って、それらを貼り、文様を表現する方法である。日本には仏教伝来とともに朝鮮半島より伝えられ、法隆寺(ほうりゅうじ)の玉虫厨子(たまむしのずし)(国宝)や正倉院宝物(しょうそういんほうもつ)中にもその作例が見られる。截金は仏教美術を中心に発展してきたが、平安時代は截金が最も隆盛した時代で、当時の仏像・仏画には繊細優美な截金が施されている。鎌倉時代になると、文様などに新しい表現が生まれたが、その後、室町時代から江戸時代には形式化していった。仏像・仏画へは、現代でも行われているが、工芸品に積極的に応用されるようになったのは、近代になってからである。1955年(昭和30)に「記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」として東京の西出大三(にしで・だいぞう)、京都の北村喜市(きたむら・きいち)、永田清高(ながた・きよたか)の3人の技術が選択された。人間国宝としては81年に齋田梅亭(さいた・ばいてい)、85年に西出大三、2002年に江里佐代子(えり・さよこ)が認定されている。
截金で表される文様は、幾何学(きかがく)的文様が中心であるが、花や鳥なども描かれており、それらの組み合わせによって、無限の文様が生まれるのである。金箔は、数枚重ねて用いられる。金箔は非常に薄く、重ねることによって厚みをもたせるためである。箔を重ね合わせるには、2枚合わせて炭火などの熱源の上にかざして焼き合わせ、合わせた箔にさらにもう1枚重ねて焼き合わせる、という方法を用いる。
金箔を切るのには、なめした革を貼った盤(ばん)(箔台(はくだい))の上で、竹刀(ちくとう)で切る。鋼(はがね)の刀では静電気が起き、箔が刀に付いてしまうためである。また、箔は膠(にわか)や布海苔(ふのり)などをあわせた特殊な糊(のり)で貼っていくのだが、片方の手に糊を含ませた筆を持ち、表そうとする文様の線に沿って糊を付けながら、その上にもう片方の手の筆にとった箔を置いていく。息をつめてしなければならないような、非常に微妙で繊細な作業である。このように、截金には極めて特殊な道具、技術が必要とされる。