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週刊人間国宝

各地の絹織物

内山武夫 前京都国立近代美術館長

 唐組(からくみ)は奈良時代に中国から渡来したといわれる平組(ひらぐみ)の組紐(くみひも)技法で、平安時代以後、天皇以下文武の官が朝廷の公事(くじ)に着用する束帯(そくたい)の着装時に、腰に太刀(たち)を佩(は)くための飾紐(かざりひも)として用いられるものをいう。色染(いろぞめ)した約300本の絹糸を使い、一本の経糸(たていと)に他の2本の経糸を絡(から)み合わせて帯状に組み上げ、菱形文(ひしがたもん)を表すのが基本である。今日では唐組の需要は減っているが、皇室の御料(ごりょう)「や、伊勢神宮の式年遷宮(しきねんせんぐう)に当たって新調される平緒(ひらお)には欠かせぬ重要な伝統技術である。

 精好仙台平(せいごせんだいひら)は袴地(はかまじ)として知られる絹織物で、江戸時代に伊達藩(だてはん)が奨励した御用織物であった。経糸は2本の練糸(ねりいと)を撚(よ)りをかけずに一つに合わせて用い、緯糸(よこいと)は撚りのない生糸(きいと)を濡らして強く打ち込むのが特色である。しなやかな風合いと張りを有し、袴として長時間正座しても皺(しわ)が出にくいため、男性の紋付(もんつき)袴という礼装が極端に減った今も、能楽、舞踊、茶道関係者らの袴地として愛されている。

 献上博多織(けんじょうはかたおり)は室町時代の記録にもある、博多で織られた絹織物の伝統を継ぐもの。江戸時代に黒田(くろだ)藩の奨励を受けて盛んとなり、毎年3月に藩から幕府に独鈷(とっこ)・華皿(はなざら)の柄の帯などが献上されたため独鈷・華皿文様のものを「献上」と呼んだ。経糸の密度を高くし、太い緯糸を打ち込んで、横畝(よこうね)状を示す平織(ひらおり)の帯地用の織物である。経糸で縞柄(しまがら)を織り出すものとして、部分的に二重経(にじゅうたて)とし、紋経糸(もんたていと)を浮かせて独鈷・華皿文を織り出すのが特色。

 佐賀錦(さがにしき)は江戸時代後期に佐賀鹿島(かしま)・鍋島(なべしおま)藩の武家の女性の嗜(たしな)みとして行われ、「組物(くみもの)」「組錦(くみにしき)」と呼ばれたが、1910年(明治43)の日英博覧会出品以後、佐賀錦の呼称が定着した。和紙または金・銀箔(はく)や漆を置いた和紙を細かく裁断して経紙(たてがみ)としたものを織り台に張り、設計図に従って竹篦(たけべら)ですくって多彩な絹の緯糸を通し、菱(ひし)つなぎ紗綾形(さやがた)などの幾何学文様を織り出す技法。袋物などに用いられる。

2007年06月19日

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