東映アニメ、夢追い50年 宮崎駿監督も輩出
2006年08月25日
日本初のカラー長編アニメ「白蛇伝」をはじめ、数々の名作、ヒット作を生んだ東映アニメーション(旧東映動画、98年に改称)が創立50周年を迎えた。その歩みはまさに戦後アニメそのもの。今も国内屈指の製作力を誇る老舗(しにせ)プロダクションは半世紀を経て、どこへ向かうのだろうか。
東映動画は、日動映画を東映が買収し56年7月31日に創立された。目指したのは「東洋のディズニー」。手間のかたまりである長編アニメを作るため、大量の新人を採用、教育し「白蛇伝」を58年に完成させた。
このとき東京都練馬区に建てた3階建てスタジオは、今も使われている。「東映動画の出現が、零細企業の家内工業という“まんが映画”の概念を変えた」と、アニメ研究家のおかだえみこさんは指摘する。
60年代に「わんぱく王子の大蛇退治」「太陽の王子ホルスの大冒険」「長靴をはいた猫」などの傑作長編を送り出す一方、63年の「鉄腕アトム」放映開始を受け、同年「狼少年ケン」でテレビに進出。だがテレビアニメの競争激化と映画全体の衰退も相まって、71年から数年間、東映動画は長編から撤退した。
入れ替わるように、72年の「マジンガーZ」、74年の「ゲッターロボ」など永井豪原作の巨大ロボットものが一時代を築く。初期長編の朗らかな作品世界とは一変、劇画タッチの荒々しいメカアクションへ。巨大ロボは、玩具のヒットとも連動し男児向けアニメの一大ジャンルとなった。
70年代後半のアニメブーム時には、「銀河鉄道999」「宇宙海賊キャプテンハーロック」など松本零士原作の作品を、80〜90年代には「Dr.スランプ アラレちゃん」から、「キン肉マン」「北斗の拳」「ドラゴンボール」「スラムダンク」と立て続けに週刊少年ジャンプ作品をアニメ化、ジャンプ黄金時代を併走した。現在も「ワンピース」が99年から放映中だ。
「テレビアニメ初の女児向け作品」とされる66年の「魔法使いサリー」から始まる「魔女っ子もの」も、同社の息の長い伝統だ。変身ヒーローものの要素を取り入れた「美少女戦士セーラームーン」シリーズ(92〜97年)では、女児だけでなく10〜20代の男性ファンも獲得した。
「メーカーの工場のように工程管理がしっかりしているのが東映アニメの特徴。安定した製作力ゆえに、出版社から人気原作を任される」とアニメ評論家の氷川竜介さんはみる。
さらに、スタジオジブリの高畑勲、宮崎駿監督をはじめ、長年にわたり多くの演出家、アニメーターが輩出したことを最大の功績とする声も多い。
現在も、地上波テレビだけで国内プロダクション随一の7本を放映中。「ウチには50年で計168本のテレビアニメと185本の映画がある。これをDVD、ゲーム、ケーブルテレビなどで二次利用できることが、製作の体力を生んでいる」と高橋浩社長は語る。
いま東映アニメが志向するのは多様化路線だ。「少子化に対応し、得意とする児童・ファミリー向けだけでなく、ヤング層向け作品を充実させたい」と清水慎治企画営業部長。
アニメ激戦区の深夜帯で4〜6月に3本の放映を始めた。新路線を感じさせる「貧乏姉妹物語」は同名マンガが原作で、小学生と中学生の姉妹がけなげに耐乏生活をおくる物語。売りものは女の子のかわいさだが、はやりの「萌(も)え系」アニメよりおとなしくまじめな作りだ。「東映の味は正攻法のエンターテインメント。とりようによっては『萌え』、くらいがいいんじゃないか」と清水さん。
50周年の今年、公開される映画は、定番のテレビ作品の劇場版だけだが、来年には「ベルサイユのばら」劇場版が公開予定。フルCGで描く「ゲゲゲの鬼太郎」や、原作によらないオリジナル企画も進行中だ。
「『わんぱく王子』で古事記をエンターテインメントにした、草創期のチャレンジ精神を見習っていきたい」と言う。
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