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金獅子賞の「三峡好人」 ダム背景に悲しみ描く2006年09月12日 9日にイタリア・リド島で閉幕した第63回ベネチア映画祭。ベルリン、カンヌと並ぶ世界三大映画祭の中でも芸術性が高いという定評通りの作品がコンペ部門にそろった。中国の賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督「三峡好人」の金獅子賞ほか、気鋭やベテランの多彩で物語性豊かな秀作が賞を占めた。声高な主張より、映画の幅広さ、奥行きの深さ、楽しさの中にメッセージを込めた。 「驚きと個性、確かなビジョンが大事。ラジカルな選考をする」。審査委員長カトリーヌ・ドヌーブの言葉通りの受賞結果だった。 開幕後も参加を秘され、サプライズ上映で最高賞をさらった「三峡好人」。賈監督は別部門出品の「東」と共に中国・三峡ダム建設による社会や心のひずみを連作で描いた。 「三峡好人」は、前妻を捜す鉱山労働者がダムに沈む街を訪れ、再会して再婚を決める。一方で2年間音信のなかった夫婦が現地で別れを決める物語が並行する。ダム建設を背景に寡黙な描写で悲喜を描く。 「国が大きく変動する中で、人々の日常の変化、弱い立場の人の姿を描きたい」と監督は語った。 84歳のアラン・レネ監督「プライベート・フィアズ・イン・パブリック・プレイシズ」は貫禄(かんろく)の銀獅子賞(監督賞)。恋がしたい娘、彼女に隠れてエロチックなビデオを見る初老の同居人。娘を誘惑する酒場店員は妻に離婚を迫られ、その3人が鉢合わせする。老若男女の欲望がすれ違う箱庭的世界で、スリルと性(さが)をあぶりだす佳品だ。 「性と孤独、人の心の矛盾を織り上げた。言語の違いを超えた様相が描かれている」とレネ監督。 イタリアの有力紙「コリエレ・デラ・セラ」が「リドのスクリーンに、貧しい人たちの言葉が半世紀ぶりに帰ってきた」と絶賛した「ゴールデン・ドア」は新設の「発見賞」に。 19世紀初頭のシチリアで単調な日々を送る農家に、「約束の地」に先に移住した人から写真がくる。巨大なニンジンや、たわわに硬貨が実る木が写る。幸福を夢見て旅立つ家族だが、そこは尋問や強制の恐怖の地だった。 同紙は、ビスコンティ監督の初期代表作「揺れる大地」上映以来のリド島への衝撃と位置づけた。シチリアの貧しい漁民の物語を方言そのままに演じさせた同作に重ね、移民問題を現代に突きつけている、とも。 審査員特別賞の「ドライ・シーズン」は初参加のアフリカ・チャドの作品。市民戦争で父を殺した男を少年は見つけるが殺せない。男の包容力に、求め続けた父親像を見た。マハマトサレ・ハルーン監督は「歴史に記憶を刻もうとしたが、アフリカでの配給は難しい。映画を学んだ仏とチャドを行き来するノマド(流浪の民)として、世界にメッセージを送りたい」。 アジアからは芸術性の高さで知られるアピチャッポン・ウィーラセタクン(タイ)、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)(台湾)らが参加。ほかに、西欧人がアジアへの旅で自分を発見する「ミッシング・スター」「アンタッチャブル」、エリザベス女王を描いた「クイーン」と、ロバート・ケネディを巡る「ボビー」、今敏監督のアニメ「パプリカ」、大友克洋監督の「蟲師(むしし)」など、全方位的な作品の数々が客を楽しませた。 PR情報この記事の関連情報
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