自分変えた「ぶっさん」 「木更津キャッツアイ」の岡田准一
2006年10月24日
02年のテレビドラマから始まった「木更津キャッツアイ」が、28日公開の映画「ワールドシリーズ」で完結する。ドラマの冒頭で死が予告された特異な主人公、ぶっさんこと田渕公平の物語は、今回ついに決着する。5年にわたり、ぶっさんを演じてきた岡田准一は「役者としての自分を変えてくれた作品。満足感と寂しさの両方がある」と話した。
岡田は95年、アイドルグループV6の一員で歌手デビュー。俳優活動も順調だったが、「木更津」出演前の頃は、自分の中で「いろんなものが壊れかけていた」という。
「アル・パチーノ主演の映画『セルピコ』を見て、やりたいのはこれだと思ったんです。パチーノは汚職を告発する良い警官だけど、恋人に当たりちらすこともある。でも、僕たちが演じてきた役は、良い人という設定であれば、どんな状況にあっても良い人だった。それは人間の幅を狭めている、と」
そんな時に「木更津」のぶっさん役と出会った。がんで余命半年と宣告された青年は、昼は草野球チーム「キャッツ」の捕手、夜は盗賊集団「キャッツアイ」のリーダーとして仲間とつるんでいる。暗すぎず明るすぎず、短気でも臆病(おくびょう)でもある。
「こういう人だからこう演じなければならない、という制約がなかった。死んでいくことを、その軽さも重さも大切にして演じることができた。すごく人間味あふれる役になる、と初めて思えました」
脚本は宮藤官九郎。岡田は昨年、落語がテーマのテレビドラマ「タイガー&ドラゴン」でも組んだ。
「宮藤さんの脚本にはダイレクトなセリフがない。『あなたが好きです』とは言わない。『帰れよ』が『好き』を意味することもあって、観客にそれが分かる。死に関するセリフもダイレクトじゃない。だから、やりやすかった」
完結編の映画は、ぶっさんが主人公ではない。彼の死を受け入れる「キャッツ」のメンバー、とりわけ公務員になったバンビ(桜井翔)の物語だ。
「元々、ストーリーを進める役割を果たしてきたのはバンビなんです。彼は唯一のまともな普通の人間。でもそれが一番難しい。映画『レインマン』のトム・クルーズですね。(共演してアカデミー賞を取った)ダスティン・ホフマンが注目されるけど、物語の流れを作ったのはクルーズ。バンビには、お前にかかってるぞ、とプレッシャーをかけておきました」
シリーズは、ぶっさんのすばらしい笑顔で一応の幕を閉じる。「今をちゃんと生きて、そして死んだ人間の幸せが表れている笑顔だと思います」
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