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〈トレンド〉思わぬヒット作相次ぐ シネコン上映の効果も

2006年10月27日

 控えめに公開した割には思わぬ人気となって全国に広がる――。「大ヒット」とはいかないまでも、そんな映画が相次いでいる。作品に共感を呼ぶ内容が備わっているだけでなく、シネマコンプレックスという装置も影響しているようだ。

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「40歳の童貞男」 キスをしても腰が引けてしまう主人公のアンディ

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「日本以外全部沈没」 防衛庁長官役の藤岡弘(右)と首相役の村野武範

 東京・渋谷のシネマGAGA!で上映中の「40歳の童貞男」は、まじめな男性が結婚するまでを描いた米国のコメディー。興行収入1億ドルを超すヒットとなったが、「米国コメディーは日本で受けない」という定説もあり、配給会社のUIPは日本での劇場公開を見送る予定だった。

 だが「公開した方がDVDが売れる」と、急きょ方針転換。DVDの発売会社と協力して東京都練馬区のシネコンで9月2日から2週間のレートショーを始めると、初日から約200席のスクリーンが満員になった。客席数の多い会場に変更し、上映回数も増やし、期間を1週間延長した。

 9月末から同系列の大阪のシネコンで公開したのに続き、渋谷でのレートショーが今月14日にスタート。2週間の予定が1週間延長され、京都、神奈川での追加上映も決まった。

 SF映画「日本以外全部沈没」(河崎実監督)は単館系の作品だが、配給元のトルネード・フィルムによると、「最近は地方のシネコンでの上映が増えてきた。新しい展開です」という。

 筒井康隆の原作自体が小松左京のベストセラー小説「日本沈没」のパロディーだ。今夏、リメーク版「日本沈没」が公開されたのに「便乗した」(同監督)。当初、東京と大阪の2館で上映の予定だったが、1本しかなかったフィルムを20本に焼き増しし、最終的には全国延べ約50館で上映される見通しという。

 東京では9月2日にシネセゾン渋谷で公開され、同16日からは同監督の「ヅラ刑事」も相乗効果を狙って渋谷を皮切りに上映中だ。

 「佐賀のがばいばあちゃん」(倉内均監督)は、漫才コンビB&Bで一世を風靡(ふうび)した島田洋七の少年時代を描いた。配給元探しが難航した後、配給会社で九州を中心にシネコンも経営するティ・ジョイ(本社・東京)に決まった。

 4月22日に九州の13館で先行上映が始まり、6月の全国公開以降は約50館にまで広がった。大作の公開などでいったん上映館は減少したものの、「夏休みに家族で見たい」といった声に応え、8月中旬から「アンコール上映」として46館に再び拡大した。興収は6億円を超えたという。

 映画評論家の柳下毅一郎さんはこうしたヒットの理由の一つにシネコンの増加を挙げる。「シネコンならば、例えば10あるスクリーンの一つで1日1回掛ければいい。独立系配給の作品を上映する条件ができている」とみる。

 作品の「イベント性」を挙げるのは映画評論家の寺脇研さん。「映画ファン以外の人が、いわくありげな映画だから見てみようと、足を運んだ。東京で話題になると、地方のシネコンでも上映され、さらに観客が増えるのだろう」

 映画ジャーナリストの大高宏雄さんは「見る人の生活感情にひっかかったり、社会性があったり、伝えたい世界をわかりやすく、面白く作っている。今は観客が自分に合う作品を見つけ出す時代。大規模な宣伝をしなくても、そこそこのヒットは可能だ」と話す。

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