「百年恋歌」の侯孝賢監督 詩情・官能・疾走感を凝縮
2006年11月21日
20世紀初頭から現代まで、三つの時代の愛の光景を一組の俳優によって描く「百年恋歌」が公開中だ。監督は、台湾の名匠・侯孝賢(ホウ・シャオシエン)。「恋恋風塵」の詩情、「フラワーズ・オブ・シャンハイ」の官能、「ミレニアム・マンボ」の疾走感……。過去の作品群の魅力を1本の映画に凝縮して見せる。
 侯孝賢監督=東京都内で
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元々は、若手監督2人とオムニバス形式で撮るつもりだった。
「でも、資金が思うように集まらなくてね。先に政府の補助金をもらっていたので、中止にすると違約金を取られる。それで単独で撮ることにしたんです」
“次善の策”が発端とは信じられないほど、映画は揺るぎない世界を見せてくれる。辛亥革命前後の1911年、中国本土で文化大革命が始まり緊張が高まった66年、そして現代の台湾。それぞれの時代の恋のときめきを、小さなエピソードを紡いで描き出す。
「11年の男女は歴史や宿命に縛られていた。60年代は世界情勢などまったく知らず、恋に心おどらせた無垢(むく)な時代。現代の若者は、様々な価値観が共存する混乱の時を生きている。一組の恋人を通して、時代と人の関係が見えてくる」
主演は「ミレニアム・マンボ」の舒淇(スー・チー)と、監督とは初顔合わせの売れっ子張震(チャン・チェン)。「人気スター同士の対抗心なのか、初めは恋人らしい感じが出なかった。なじみのある現代編から撮り始め、徐々に雰囲気を作った」
11年の場面は古風な言葉遣いが不自然に見えぬよう、セリフはすべて無声映画風に文字で表現した。折り目正しさや緊張感が出るように、2人には母語ではない広東語で芝居をさせたという。
「映画監督として一番重視しているのは人間の描き方。どんな小さな場面も、存在感がなければだめだ」と侯監督。フランスのオルセー美術館に委嘱された最新作「赤い風船」を撮り終えたばかり。ジュリエット・ビノシュを主演に迎え、どんな人間像を描いたのか。こちらも楽しみだ。
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