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交錯する虚構と現実 今敏監督「パプリカ」公開中

2006年11月27日

 気鋭のアニメ監督、今敏が筒井康隆のSFサイコサスペンスを映画化した「パプリカ」が東京・テアトル新宿などで公開されている。今秋のベネチア映画祭で絶賛された。他人の夢に入り込み、交感するという超現実の物語。「ネット社会や現代人の心のありようを重ねた」と言う。

◆「現代人の心・社会重ねた」

 セラピスト千葉敦子は、別人格パプリカになって極秘の治療を行う。DCミニという小さな機器を使い、「ミクロの決死圏」さながら、眠った患者の夢や深層意識に入り込み、病巣のトラウマを解消する。この機器が盗まれ、人格を破壊するために悪用される。

 「現実と、ネットなどから広がる虚構世界は今や区別できない。大人は『若者は現実と虚構の区別がつかないからだめだ』と言うが、区別がつかない現実を伝えたい」。DCミニは、異界への入り口という意味で、インターネットの例えといえる。

 色の「洪水」のような原色の多用、異人格を行き来するごとに巧みに切り替わる視線や内面世界、奇怪な生物の行進。超現実の世界は、ベネチアで喝采を浴びた。

 「現実と幻想のあいまいな境界を扱うようになったのは筒井ワールド、特に『パプリカ』の影響」と言う。数年前、アニメ雑誌の対談で筒井本人から「『パプリカ』をアニメ化してほしい」と言われたそうだ。

 02年の「千年女優」は、往年の大女優が若き日の悲恋を懐かしむ話で、時空を行きつ戻りつし、大きなスケールで活劇調に仕立てた。「パプリカ」のスタイルは、その発展形だ。

 夢と現実のような、無関係に見える出来事の間に意味をみてとる「シンクロニシティー」という考え方を引いて、こう語る。

 「現代人は偶然や神秘に意味を与えたがっているんです。物語がないと生きられない、誰かとつながり、集団で夢を見たい。そういう孤独の深層を探りたかった」

 43歳。作中に、バーの店員役として、筒井と一緒に声の出演もした。

 「過去の作品は理性的に作ってきたが、今回は着地点を予想せず、破綻(はたん)も前向きにとらえた。固まってしまった想像力を、もう一度広げてみたかった」

 順次各地で。

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