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「硫黄島…」壁厚く 栄冠はスコセッシへ アカデミー賞2007年02月27日 無冠の帝王がついにオスカー像を抱いた。第79回アカデミー賞は、「ディパーテッド」のマーティン・スコセッシに監督賞と作品賞を与えた。「バベル」の菊地凛子は助演女優賞に届かず、日本人キャストの「硫黄島からの手紙」も主要賞から漏れたが、ハリウッドの国際化で日本の映画人にも様々な可能性が開かれていることを実感させた。 フランシス・フォード・コッポラ、ジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグ――大物監督3人が監督賞のプレゼンターとして登壇した瞬間、スコセッシの受賞を予感した人は多いだろう。「レイジング・ブル」以来6回目のノミネートで初の監督賞を手にした名匠を、客席は大きなスタンディングオベーションで迎えた。 「サンキュー」を連発して歓声を鎮めたスコセッシ監督は、「もう一度封筒を確認してくれるかな」。「もう何年も、行く先々でいろんな人から『あなたが受賞すべきだ』と言われてきた」と語る顔には、栄冠の喜びとともに、プレッシャーから解放された安堵(あんど)の色もうかがえた。 受賞作の「ディパーテッド」は、香港映画「インファナル・アフェア」のリメーク。マフィアと警察の攻防を、米国の風土に巧みに移植したウィリアム・モナハンが脚色賞を受賞した。 スコセッシ作品では最大のヒットとなった同作だが、実は監督にとっては「雇われ仕事」。先月の来日会見でも「本当は撮りたくなかったが、事情があってね」と発言し、プレスを驚かせた。経緯はともあれ、鮮烈なアクションや人間の暗部に対する鋭い洞察は、この監督ならではのもの。オスカー受賞で、年来の企画である遠藤周作原作の「沈黙」の映画化に弾みがつくかもしれない。 「硫黄島からの手紙」は批評家からは絶賛を浴びたものの、日本人キャストの「外国語映画」に主要賞の壁は厚かった。ただ、敵味方を超えた視点から戦争の残酷さを描ききったクリント・イーストウッド監督の手腕、そしてケン・ワタナベをはじめとする日本人俳優の演技は、多くの人の記憶に刻まれたに違いない。 男女主演賞は、「ラストキング・オブ・スコットランド」でウガンダのアミン元大統領に扮したフォレスト・ウィテカー、「クィーン」で英国女王を演じたヘレン・ミレンという大本命が順当に獲得した。昨年の「カポーティ」、一昨年の「レイ」に続く「そっくりさん」路線。実録もの映画のブームが背景にあるが、そろそろフィクションならではの名演技も見てみたい気がする。 菊地凛子の受賞に期待がかかった助演女優賞は、「ドリームガールズ」の大型新人ジェニファー・ハドソンがさらった。「バベル」の出演陣では菊地のほかにメキシコ人女優アドリアナ・バラッザも同部門の候補になっており、票が割れた可能性も。菊地は期待の新星として米メディアにもたびたび登場。ハリウッドでの次回作も決まり、今後の飛躍に期待がかかる。 PR情報この記事の関連情報
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