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第60回カンヌ映画祭、16日開幕

2007年05月16日10時41分

 世界最大の映画イベント「カンヌ国際映画祭」が今年、60回目を迎え、16〜27日、南フランスで開かれる。早い時期から、日本映画も受賞を重ねた同映画祭。節目の今回も、記念企画として世界の監督35人に委嘱した短編集に、北野武監督が参加。過去の受賞監督とフレッシュな才能が並んだ花形部門のコンペティションには、河瀬直美監督が「殯(もがり)の森」で2度目の出品を果たした。

 1939年、ファシスト政権下のイタリア・ベネチア映画祭に対抗する「自由世界」の祭典としてカンヌは誕生した。だが、ナチスのポーランド侵攻によって初回は開幕上映だけで中断、第2次世界大戦後の46年にようやく再開した。

 資金難での中止(48、50年)や、五月革命の混乱による中断(68年)などの曲折はあったが、芸術とビジネスの両面で着実に成長。今では約3万人の業界関係者と4000人以上の取材陣が集まる世界最大の映画イベントとなっている。

 節目の年にふさわしく、今年はいつも以上に豪華な顔ぶれが並ぶ。

 クエンティン・タランティーノ、コーエン兄弟、ガス・バン・サント、2度の栄冠に輝いたエミール・クストリッツァと、コンペ作22本のうち4本が最高賞パルムドール受賞経験者の作品。昨年のコンペ審査員長だった王家衛は、初の英語作品「マイ・ブルーベリー・ナイツ」が開幕を飾る。

 一方、コンペ初参加の監督も過半数を占める。デビュー作「父、帰る」がベネチア金獅子賞を受けたロシアのアンドレイ・ズビャギンツェフ、「愛より強く」でベルリン金熊賞のトルコ系ドイツ人ファティ・アキン、韓国のキム・ギドク、イ・チャンドンなど、他の映画祭で実績のある面々が並ぶ。デビッド・フィンチャーが実際の連続殺人を描く「ゾディアック」、イスラム革命期に育ったイラン女性が自伝的コミックを自らアニメ化した「ペルセポリス」など内容も多彩だ。

 日本から唯一コンペ入りの河瀬監督は「萌(もえ)の朱雀(すざく)」でのカメラドール(新人監督賞)受賞からちょうど10年。「沙羅双樹」に続く出品作「殯の森」は日仏合作で、奈良の山里を舞台に、喪失感から立ち上がろうとする人々を詩情豊かに描く。コンぺ作の最後を飾り26日に上映される。

 60回記念の短編集「それぞれのシネマ」は、アキ・カウリスマキ、テオ・アンゲロプロス、ラース・フォン・トリアー、デビッド・クローネンバーグ、侯孝賢ら35人が「映画館」の共通テーマで3分間の新作を撮り下ろした。北野監督は喜劇仕立て。「ネタはかぶらないと思うけど、他の人がどんな手で来るか、気になるね」。20日の公式上映には監督たちも列席する。

 コンペ外では、「華氏911」でパルム監督となったマイケル・ムーアが米国の医療制度に切り込む「シッコ」が再び物議を醸しそう。

 日本からは、並行部門の監督週間にダウンタウンの松本人志の初監督作「大日本人」、国際批評家週間に本谷有希子の小説をCM出身の吉田大八監督が映画化した「腑抜(ふぬ)けども、悲しみの愛を見せろ」が参加。ともにカメラドールの対象作。同賞のプレゼンターはオスカー監督のマーティン・スコセッシが務める。

◆喝采浴びた日本映画

 日本映画がカンヌの最高賞を初めてつかんだのは54年、衣笠貞之助監督の「地獄門」だった。出演は長谷川一夫に京マチ子、撮影を、52年に「源氏物語」で撮影賞を受けた杉山公平が担当した。

 この年の審査員長ジャン・コクトーは「美の到達点。能の持つ完成美を感じた」とたたえた。ベネチア映画祭で黒澤明監督「羅生門」が頂点の金獅子賞を得てから3年後のことだ。

 2度目の最高賞は26年後の80年、黒澤監督の「影武者」が手にした。この間も、60年代には「切腹」(小林正樹監督)や「砂の女」(勅使河原宏監督)などが審査員特別賞を、78年に大島渚監督「愛の亡霊」が監督賞を受けている。

 83年の最高賞作「楢山節考」の今村昌平監督は、97年の「うなぎ」で再受賞の偉業を成した。同じ年に河瀬監督「萌の朱雀」は新人監督賞。「映画と人類の魂に対してありがとうを言いたい」と謝辞を述べた。90年代にはまた、小栗康平監督「死の棘(とげ)」が2席にあたる大賞を90年に獲得した。

 最近の話題は04年、是枝裕和監督「誰も知らない」に出演した柳楽優弥の最優秀男優賞だ。14歳での受賞は、この賞の最年少記録。選評は「少年の成長の旅路を見事に演じた」だった。

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