現在位置:asahi.com>文化・芸能>芸能>映画> 記事 「映画、それは人生に似ている」河瀬監督、独自の世界観2007年05月28日11時14分 「映画を作り続けてよかった」。「殯(もがり)の森」で第60回カンヌ国際映画祭のグランプリを受賞した河瀬直美監督は、授賞式のステージに上がって2度つぶやいた。「萌の朱雀」でカンヌのカメラドール(新人賞)を受賞してから10年。結婚、離婚、介護、再婚、子育て……。「映画を作るって本当に大変なこと。それは人生に似ています」と切り出したスピーチも異彩を放った。
「私たちの人生にはたくさんの困難がある。お金とか服とか車とか、形あるものに心のよりどころを求めようとするが、そういうものが満たしてくれるのは、ほんの一部。目に見えないもの――誰かの思いとか、光とか風とか、亡くなった人の面影とか――私たちはそういうものに心の支えを見つけたときに、たった一人でも立っていられる、そんな生き物なのだと思います」 こう続けたスピーチは、初期の8ミリ作品から今回の受賞作まで、一貫して描いてきた世界観を端的に表している。その言葉に、会場のパレ・ド・フェスティバルを埋めた観衆から大きな拍手がわいた。河瀬監督は「そういった映画を評価してくれてありがとう。この世界はすばらしいです」と応じた。 受賞作は、初めてプロデューサーも兼務した劇映画。認知症の養母(92)の介護や3歳の長男の光●(みつき)ちゃん(●は、示へんに斤)の育児をしながら、合宿態勢で撮影チームを率いた。 北野武、是枝裕和監督らの作品の海外配給を手がけてきたフランスの敏腕プロデューサー、ヘンガメ・パナヒさんにも監督自身が直談判して出資協力を取り付けた。 「以前から知り合いだけれど、一緒に仕事するのは初めて。パリまで訪ねてきて、『あなたと組みたい』と口説かれた。行動的でチャーミング。こんな監督、世界にめったにいない」とパナヒさんはいう。 ドキュメンタリーの手法を採り入れた映画作りも独特で、登場人物のリアルな存在感を徹底的に追求する。 「殯の森」で主人公の老人を演じた、うだしげきさん(60)は、監督の活動を支援してきた奈良市内の古書店主で、演技は初めて。共演の尾野真千子さん(25)は、奈良県内の中学時代に監督にスカウトされて「萌の朱雀」でデビューした。役名の「しげき」と「真千子」は、2人の名前をそのまま使ったもの。ともに「自分の存在そのものが試される現場だった」と振り返る。 「審査会ではすごいバトルもあったらしい。委員長のスティーブン・フリアーズ監督が『すごく好きな映画だ』と言ってくれた」と河瀬監督。「これからも一歩一歩、自分の足で歩みながら映画を作り続けたい」と語った。 PR情報この記事の関連情報文化・芸能
|
ここから広告です
広告終わり どらく
鮮明フル画面
一覧企画特集
ショッピング特集朝日新聞社から |