現在位置:asahi.com>文化・芸能>芸能>映画> 記事 小津映画 カットの平均秒数、場面ごとに統一2007年06月05日02時49分 日本を代表する映画監督の小津安二郎(1903〜63)が、映画を構成する最小単位である「カット」の平均の長さを場面ごとにそろえていたことが、東京工業大の佐藤大和・特任教授(音声言語処理)の分析でわかった。各場面を締めくくるカットを調整弁にしており、小津映画の魅力である「心地よいリズム」の源ではないかという。
映画の1場面は複数のカットからなる。小津映画は他の作品と比べてカットの数が多く、1カットが短いのが特徴だ。 佐藤さんは晩年の6作品についてカットの数と長さをコンピューターで分析。「麦秋」(51年)と「東京物語」(53年)はカット数が各800弱で、1カットの長さは平均9.7秒と10.4秒。「彼岸花」(58年)と「お早よう」(59年)、「秋日和」(60年)、「秋刀魚の味」(62年)はカット数が802〜1103で、平均の長さが6.8秒か6.9秒だった。 さらに、それぞれの作品の場面ごとに分析したところ、前の2作品は1カットの長さが平均10秒前後、後の4作品は6.5〜7.0秒でそろっていて、各作品で最初から最後まで一定のリズムを刻んでいることがわかった。 小津映画は、会話の場面では登場人物が1人ずつ話すアップのカットの後、全体の状況を説明するカットで締めることが多く、このカットが調整に使われていた。例えば1カットが平均7秒の作品の場合、3人の人物が順に7秒、3秒、5秒としゃべると、全体状況のカットを13秒にして、4カットからなる場面の1カット平均の長さを7秒にしている。 「小津安二郎の芸術」などの著書がある映画評論家の佐藤忠男さんは「新しい着眼による面白い研究だ。小津は形式美を重んじ、映画の編集ではフィルムのコマ数まで細かく指示していたと聞く。それが数量的にも裏付けられた」と話している。 PR情報この記事の関連情報 |