現在位置:asahi.com>文化・芸能>芸能>映画> 記事

オペラ「魔笛」、第1次世界大戦舞台に映画化

2007年07月14日16時05分

 モーツァルトのオペラを映画化したケネス・ブラナー監督「魔笛」が14日から、全国で順次公開される。映画「ヘンリー五世」「ハムレット」を手がけ、主演を務めた異才は、200年前に初演されたオペラの舞台を第1次世界大戦に移し替えた。「ズームや視角、カットを変えることで、オペラにはない感情表現ができた」と語る。

 「魔笛」は、「夜の女王」の娘パミーナをザラストロの手から助け出そうと冒険に出た王子タミーノが、様々な試練を乗り越え成長していく物語。

 原作の構造をそのままに、ブラナーは戦火の中の恋愛と平和の祈りの物語に変えた。タミーノは戦場で、戦車率いる「夜の女王」から娘パミーナの救出を依頼される。だが、娘を奪ったザラストロの真の姿は、平和を望む指導者であった……。

 「原作は、冒険や魔法、闘いを通じて、愛と確執、和解を魅力的に描く。今なおくみ尽くせない、現代人に響くビジョンがある」

 第1次大戦を舞台にしたのは「思惑と権謀が絡んで憎しみが膨れあがり、血のつながりが憎悪にすり替わる点が相通じる」と言う。

 劇中では、オペラのアリア22曲が使われる。指揮はパリ国立歌劇場で音楽監督を務めたジェイムズ・コンロン。俳優もザラストロ役のルネ・パーペら、活躍中のオペラ歌手が演じる。

 「魔笛」の華といえる「夜の女王」による高音のアリアでは、歌うリューボフ・ペトロバの口元をアップで写す。「歌が高ぶる感情から生まれ、その狂気や悲しみ、葛藤(かっとう)を鮮烈に表現したかった」。「カットを変えれば、物語を論理的に築ける。そこにモーツァルトの情感を重ねた」とも。

 オペラは、モーツァルトが加入した結社フリーメーソンの秘儀劇めいている。映画では、エジプトの古代神をたたえる場面をなくし、タミーノとパミーナの愛の通過儀礼である「火と水の試練」の場面を、戦火と濁流に置き換えている。

 「傑作オペラを恋愛劇としてよみがえらせたかった。ザラストロもカルト的なリーダーでなく、キング牧師やネルソン・マンデラのような平和活動家として描き、現代性を織り込んだのです」

PR情報

このページのトップに戻る