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邦画人気 次の一手は映画の外に

2008年03月04日11時03分

 邦画人気はやはり「バブル」だったのか、と思うほど昨年の邦画界は「次」へつなげる気迫を欠いた。

 48対52。日本映画製作者連盟(映連)が発表した07年の邦画と洋画の興行収入(興収)の比だ。06年は、この比率をほぼ裏返した形で邦画が勝ち、21年ぶりの「邦洋逆転」にわいた。

 松岡功・映連会長は「豊年もあれば、不作もある」と07年を振り返るが、数字に表れない危機を感じる。

 「映画に知的好奇心を向けず、気持ちよさだけを求める。動物的な快感原則にもとづく観客の保守化は止まらない」。『日本映画、崩壊』の著者で映画ジャーナリストの斉藤守彦さんは、そう指摘する。

 断トツ1位の「HERO」を「木村拓哉が出る人気ドラマ。それ以上でも以下でもない」と、映画ジャーナリストの大高宏雄さんは評する。人気ドラマの「続編」を大宣伝すれば、観客にはストーリーの見通しがつき心地よい。4位の「西遊記」しかり。

 個性と多様性の開花、ブランド頼みからの脱却。その気配が06年にはあった。「フラガール」「かもめ食堂」「佐賀のがばいばあちゃん」などの佳品が「邦画力」を底上げし、観客をアート系映画に誘う可能性も開いた。07年、独創でヒットを呼び込んだのは「それでもボクはやってない」「大日本人」など少ない。

 むしろ「次の一手」は映画の外にあるのかも知れない。「踊る大捜査線」の本広克行が総監督する深夜の高視聴率ドラマ「SP」は一見、暗い身辺警護警官の物語だが骨太だ。人気俳優を「ただ見ている」のでなく、物語を「見たいから見る」層を引きつける。「深夜の視聴者層は、コアな映画ファンに重なる。映画を意識した中長期戦略だろう」と大高さん。

 あるいは、評論家筋の評価は散々でも、ケータイ小説を映画化した「恋空」の大ヒット。

 女子高生が花畑でレイプされると、彼氏がすぐに犯人を痛めつけてくれる。妊娠しても、彼氏はプレゼントを手に「産んでくれ」と祝福する頼もしさ。その「婚約」した彼氏と別れたら、ほどなく別の男が見つかり、離婚寸前の両親はあっけなく和解する。

 この女子高生の妄想を担う新垣結衣は、まるで空っぽな内実を他者=彼氏だけでなく観客にも埋めてほしいと、うつろに演じたように見えた。万一、「観客参加型」を狙ったとすれば、試みは新しい。

 だが、この「人生を全肯定する、リアルもバーチャルも超えた変な光景」(大高さん)が映画として「成立」したことに、「今まで自分は何をやってきたのか。これから何をやっていいのか分からなくなった」というプロデューサーも。

 物語の結構や映画人の自意識の崩壊。邦画の再立ち上げは容易でなさそうだ。

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