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転機の浅野忠信 オスカー候補「モンゴル」で主演

2008年04月03日15時44分

 浅野忠信が主演し、米アカデミー賞外国語映画賞候補になった「モンゴル」が5日から公開される。遊牧民の頭領の息子が、モンゴル帝国の盟主チンギス・ハーンとなるまでを描く。監督は「コーカサスの虜(とりこ)」などで知られるロシアのセルゲイ・ボドロフ。監督も浅野も、大きな転機となったと振り返る。

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 約50億円の製作費を投じたドイツ・ロシア・カザフスタン・モンゴル合作。13カ国のスタッフとキャストが結集した。

 ロシアにとって、チンギス・ハーンは残酷な侵略者。ボドロフ監督も、「蛮行」や「凶暴さ」を教わった覚えがある。「アジアでは英雄だと知って驚いた。なぜ対照的な人物像が生まれたのか興味を持った」と監督。「敵を極悪人に仕立て上げるといったイメージ操作は、今も行われていること。チンギス・ハーンの実像に迫るのは、相互の歴史や文化を理解する点でも、現代的な意味がある」

 浅野演じるテムジンは、父を暗殺され、奴隷同然の境遇で育ち、やがて草原の覇者となる。希代のカリスマにふさわしい俳優を探し、監督はロシア、中国、韓国、米国を回った。「空振り続きで悲観的になりかけた時、アサノと出会った。何もしゃべらなくても独特の威厳と風格がある。一目で『彼だ!』と思った」

 王家衛(ウォン・カーウァイ)、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)ら海外監督との仕事も多い浅野だが、外国人役は初めて。セリフはすべてモンゴル語。激しい乗馬アクションもある。「今までの自分だったら断っていた」

 ちょうど30代に入り、新たな方向性を模索する時期だった。「自分がいた場所に、別の若い人たちがいる。これまでのやり方は通用しない。ここは挑戦すべきだろう、と」

 多言語が飛び交う現場は想像以上に過酷だった。生傷は絶えず、宿では水の出の悪いシャワーに泣かされた。モンゴル人スタッフから「お前がハーン? イメージが違う」ときついダメ出しも受けた。

 「外国人が戦国武将をやるようなものだから、文句が出るのは覚悟の上。できないことより、何ができるかを考えていた。不安を乗り越え、自信をもらえた現場でした」

 ボドロフ監督にとっても、転機となった。俳優だった息子を5年前に事故で亡くし、仕事が手につかない状態が続いていた。「立ち直るために挑戦しろと、多くの人が後押ししてくれた。父と息子という主題は僕の映画に共通するが、ことさら思いが深い」

 オスカー候補になったことで続編を望む声も出ている。「真剣に考えたい。もちろんアサノ主演でね」

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