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石油巡る執念と狂気 評判の人間ドラマ

2008年04月24日17時05分

 石油採掘に賭ける男の執念を追った映画「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」が、26日から東京・日比谷シャンテシネなどで公開される。主演のダニエル・デイ・ルイスがアカデミー主演男優賞を、ポール・トーマス・アンダーソン監督がベルリン国際映画祭で監督賞を受賞するなど、評判の人間ドラマだ。

 原作は、米の作家アプトン・シンクレアが27年に発表した小説「石油!」。アンダーソン監督が、ロンドンで偶然買い求めたのが出発点だ。「大部分変えてしまったが、本に負うところはすごく大きかった。特に、オープニングで主人公がスピーチする場面は原作のままだよ」

 石油採掘で一獲千金を夢見るダニエル・プレインビュー(デイ・ルイス)は、ある情報を得て、一人息子とともに西部の小さな町に赴く。彼は安価に土地を買い占め、石油を掘り当てるが、地元の牧師イーライ(ポール・ダノ)との確執が深まっていき……。

 アンダーソン監督は37歳。96年に「ハードエイト」で長編デビューして以来、97年の「ブギーナイツ」、99年の「マグノリア」、02年の「パンチドランク・ラブ」と問題作を発表し続けてきた。しかし、今回は5年の間隔が空いた。

 「5年間、何もしてなかったわけじゃないよ。脚本を書くのに数年、資金集めに1年ほどかかった。ダニエル(デイ・ルイス)が断れないくらいのものを書こうとしていたんだろうね。絶対に嫌だと言わせないようにね」

 デイ・ルイスは、脳性マヒを抱えた画家を演じた「マイ・レフトフット」(89年)で米アカデミー賞主演男優賞を獲得しており、今回が4回目のノミネートで2度目の受賞になる。役になりきることでは他の俳優の追随を許さないが、今回も、まさに貪欲(どんよく)な石油屋そのものに見える。

 デイ・ルイスは言う。「僕の仕事は基本的にはプレインビューと同じ。暗闇を手探りで探し回って、何かを見つけようとする。そこに真実味が生じる。今回、僕はアイルランドの自宅の庭に穴を掘り始めた。石油を掘り当てるような仕事をするにはしっかりした手が必要。僕はそういう手じゃなかったから」

 プレインビューは富を得たものの、狂気に満ちた結末が待っている。「終わった」というつぶやきが印象的だ。これは、演じていた自分自身の気持ちでもあったという。

 「大変活気を与えてくれる仕事に、ある期間携わっていると、それにすべてをささげたくなる。好奇心というものは一度火がついたら、仕事が終わった後も取り除くのが難しい。終わらせたくないという気持ちと終わってしまった悲しさが同居しているんだ」(斉藤勝寿)

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