現在位置:asahi.com>文化・芸能>芸能>映画> 記事 まるで音楽セッション 北野武監督「アキレスと亀」製作進む2008年05月02日15時42分 北野武監督の新作「アキレスと亀」の製作が進んでいる。長編14作目となる今回は、いつまでも夢を追い続ける画家と、彼を支える妻という夫婦の物語。先月末、撮影終盤を迎えたロケ現場をのぞいてみた。 東京・浅草に昭和初期から立つ3階建てのビル。実際にギャラリーとして使われているモダンな空間を、青山の画廊に見立てた。この日は北野扮する画家の真知寿(まちす)と妻(樋口可南子)が、画商(大森南朋)に絵を見せる場面。 最初に、北野と全く同じ身なりをした男性が目につく。「あれはスタンド・インです」と関係者。監督、主演の二役をこなす北野のため、リハーサルのときに代役を果たす俳優という。 「この絵と、この絵を入れ替えようか」。当の北野は役の衣装のまま、スタッフに指示を出していた。カメラマンには構図やカメラの動きをおおまかに伝える。いずれも穏やかな口調だ。 この穏やかさが、現場全体の印象ともいえる。リハーサルにスタンド・インを使い、監督として役者の動きを確認した後、実際に演じ、その後に映像をチェック。この繰り返しが非常にスムーズに続くのだ。役者や技術陣がNGを出さない限り、1回の撮影でOKが出るのが珍しくない。 北野作品と長くかかわるスタッフが多く、監督の意図を理解しているのが一つ。森昌行プロデューサーは「演技を押しつけず、現場で生まれた空気、相乗効果を尊重していく。音楽のセッション・ワークに近い」を理由に挙げた。97年の「HANA―BI」も夫婦を描いたが、「かなわぬ夢にのめりこむ夫婦の、こっけいで、悲しくもある物語」と違いも指摘する。 現場には、撮影用に監督の自作絵画約70点を並べた。画商の言葉をひたすら信じる真知寿のシーンは、現在のアートブームへの皮肉も隠されていると感じた。 「(北野は)現場で感情をぶつけるタイプではないが、今回は現場を楽しむ余裕すら感じた」と振り返る森プロデューサー。完成は7月で、今秋の公開予定。(高橋昌宏) PR情報 |