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バッハの権威、指で解体 ピアニスト・高橋悠治さん

2005年02月25日16時04分

「ゴルトベルク変奏曲」の全国公演を開始する高橋悠治=岩井賢一氏撮影

「ゴルトベルク変奏曲」の全国公演を開始する高橋悠治=岩井賢一氏撮影

 ピアニスト・作曲家の高橋悠治が3月から、全国各地でバッハの「ゴルトベルク変奏曲」を弾く。昨年11月、28年ぶりに同曲を録音したCD(エイベックス)が発売されて大きな話題を呼び、今年のツアーの皮切りとなる東京公演もすでに完売という人気ぶりだ。高橋にとって、今なぜ、ゴルトベルクなのか。

 ゴルトベルク変奏曲は、貴族の不眠症をなぐさめるためにバッハの弟子ゴルトベルクが弾いた作品で、グレン・グールドの録音などで広く知られている。「誰が弾こうが聞きたいという人がいる変な曲でね。新しい人が録音すれば話題になるし、2度目の録音でも騒がれる」と高橋は笑う。

 四半世紀ぶりの録音には「レコード会社などに頼まれたから」と素っ気ないものの、その演奏に掲げたのは、「一口に言えば反啓蒙(けいもう)主義かな」。バッハは「音楽の父」と呼ばれるが、「その背景には一種の父権的権威が存在する」という。その権威に抵抗した演奏だ。

 例えば、曲の構成を明確に分かるように弾くのではなく、それを解体するという。「何を基準に解体するかというとリズム。リズムというのは体、音楽の身体と言ってもいいかもしれない。制度をどう解体するのかというのは、今の時代の一つの傾向でもあるよね」

 根底にあるのは「こうじゃいけないということは何もない」という姿勢だ。固定されたスタイルにとどまることなく、「できるだけ多様化、多層化させた」と語る。

 昨年、CD発売の直後に東京で一夜だけ演奏した。「全部決まったことをやるわけではない。あえて不安定に、スレスレのところで弾いているから、塀の上を歩いて、いつ落ちるかって気分だった」

 自らを、時代やその時々の感覚、会場の雰囲気にも影響されながら演奏するタイプと見る。「その都度、何か違うことが見えなきゃね。そして半分は、その時の指に任せている」。遊び心も忘れない。

 3月中の公演は、2日、東京・浜離宮朝日ホール(完売)▽13日、大阪市中央公会堂(電話06・6204・0412=エス・ピー・エース)▽24日・札幌コンサートホール小ホール(同011・612・8696=オフィス・ワン)。このほか、年内に水戸、福山、高知でも公演を予定している。


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