発泡スチロールで平城宮跡保護 奈良1300年祭主会場
2006年12月14日
奈良県や関西経済連合会などが2010年開催をめざすテーマ博「平城遷都1300年記念事業(奈良1300年祭)」で、パビリオンなどを建設する主会場にするため、世界遺産の平城宮跡(奈良市)を盛り土や発泡スチロールなどで覆う計画が進んでいることがわかった。埋蔵文化財の損傷を心配し、主会場にすることに文化庁も一時難色を示したが、盛り土などで損傷の可能性は低くできるとして許可する方向だ。これに対し、考古学者の間からは「何でそこまでして開くのか」との声が漏れる。
 主会場にする計画のある平城宮跡。左下は復元された朱雀門、左上は復元中の大極殿=奈良市で、本社ヘリから
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事業主体の「平城遷都1300年記念事業協会」(会長=秋山喜久・関経連会長)によると、盛り土が必要なのはパビリオンの建設予定地など10ヘクタール弱。平城宮跡会場のほぼ3分の1にあたる。協会は「盛り土により、木簡など埋蔵文化財にかかる施設の荷重を分散させる」としている。
関係者によると、数十センチの厚さで土砂を盛るほか、特に地盤が軟弱な場所には、緩衝材として厚さ30センチの発泡スチロールを並べた上に板を載せ舗装する方法も検討中だ。2、3億円かかるとみられる。
協会側は2年前から、平城宮跡の使用について文化庁に許可を求めてきたが、同庁は「地中の遺構などを傷めない保証がない」として交渉は難航。協会側は今年10月に盛り土案を報告し、文化庁も一定の評価を見せたが、予定では9月に許可を得ているはずだった。
88年開催の「なら・シルクロード博」時にも平城宮跡を会場に使う案はあった。文化庁から「遺構保全のため、約1メートルの盛り土をして終了後に撤去するように」と求められたため、経費などの面から断念し、奈良公園へ会場を移した。1300年記念事業は文化庁への「再挑戦」だった。
同事業構想は90年代初めに県庁内で浮上。当時、京都では「平安建都1200年記念事業」(94年開催)の準備が進められていた。
県庁幹部は、平城宮跡にこだわる理由について「広大な空き地で、現代の建物がなく、古代の都に思いをはせることができるから。宮跡を今後どうすべきなのか、議論するきっかけにもなる」と話す。関経連幹部も「関西、日本を活性化させる国家的事業にしたい」と意気込む。
主会場決定の遅れから事業の認知度はいま一つ。企業協賛金が集まっておらず、柿本善也知事は9月から奈良市内の複数の有名寺院へ協賛企業を紹介してくれるよう頼んで回っている。ある住職は「やんわり断っているのに2時間粘られた。こだわりを感じた」と言う。
協会は「文化庁の理解をようやく得られそう。使用許可問題は今年度中に決着させたい」。文化庁記念物課は「盛り土で景観と埋蔵文化財を保護できるのであれば許可できる」としている。
日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員長の近藤英夫・東海大教授(考古学)は「土を何センチ盛れば大丈夫というのは、計算上の数字にすぎない。リスクを冒してまで世界遺産にパビリオンを建てる必然性が理解できない」と批判する。
〈平城遷都1300年記念事業〉 2010年1月から1年間、平城宮跡を主会場に県内各地でイベントを開く計画。同宮跡の中心部約30ヘクタールにパビリオンなどを建設。平城京時代を再現し、世界遺産保護の技術などを紹介する。同宮跡会場だけで500万人の入場を見込む。総事業費は350億円で、県と奈良市、国が計145億円を負担、入場料など営業収入を100億円と見込み、残る105億円を企業からの協賛に頼る。
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