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平安の旗に古墳と同じ絵の具使用 正倉院宝物の調査判明

2007年05月15日19時17分

 奈良・正倉院に伝わる仏教の旗「彩絵仏像幡(さいえぶつぞうばん)」が、9世紀前半(平安時代初め)の作にもかかわらず、5〜6世紀の彩色古墳と同系の土性顔料で描かれていたことがわかった。宮内庁正倉院事務所が15日、発表した。300年以上前の古式顔料を使った理由は不明で、「最先端の絵の具が入手できなかったか。絵師のこだわりか」と研究者も首をひねる。

写真古式顔料を使ったことがわかった「彩絵仏像幡」=正倉院紀要第29号から

 幡は長さ2.37メートル、幅33.4センチの布製。赤の表面に、緑や黄色などで仏像(高さ約22センチ)4体が描かれている。03〜06年度に修理を兼ねて、科学的調査が実施された。蛍光X線や電子顕微鏡などによる科学分析の結果、白土(はくど)、黄土、緑土、ベンガラという、土を原料にした顔料が使われていたことがわかった。

 この土性顔料4種は、5〜6世紀の日本や朝鮮半島の古墳で石室の彩色や壁画に用いられた。その後は鉱物系に取って代わられ、奈良時代にはほとんど消えたと考えられていた。

 幡は仏像の図柄の特徴から、平安時代初期の9世紀前半とわかった。古式顔料が使われた理由について、調査に加わった奈良国立博物館の梶谷亮治・学芸課長(絵画史)は「鉱物顔料が高価なので、安価で入手しやすい顔料を使ったのかも」と推理。分析した成瀬正和・同事務所保存科学室長は「絵師が何らかのこだわりをもって用いたとも考えられる」と話す。

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