現在位置:asahi.com>文化・芸能>文化>文化一般> 記事 綿の布団に真っ赤な布包みの遺体 奈良・藤ノ木古墳2007年10月06日06時03分 未盗掘の石棺が88年10月に開けられた奈良県斑鳩町(いかるがちょう)の藤ノ木古墳(6世紀後半、国史跡)の埋葬は、真っ赤な布などで包んだミイラ状の遺体を真綿の敷布団に安置して掛け布をした、という手順だったことがわかった。吉松茂信・宮内庁正倉院事務所技官(古代染織史)らが、県立橿原考古学研究所の依頼で棺内の繊維遺物を調べて突き止めた。古墳埋葬の実態が確認されたのは全国で初めて。防腐などを目的に、棺全体にベニバナをまいた可能性も指摘されている。 調査したのは吉松さんや沢田むつ代・東京国立博物館上席研究員(同)ら。その結果、プロセスは(1)棺底に真綿を数層敷き、絹の敷布を置く(2)2人の被葬者のうち北側の男性(20歳前後)を、絹や錦を十数枚重ねて包み安置(3)南側の男性(20〜40歳)を同様に包み、掛け布で覆う(4)北側男性の側からも布をかけて2人とも覆う(5)刀剣6本をそれぞれ、数枚重ねの絹袋に入れて納める――とわかった。 布や袋は中間に必ず、顔料の朱で着色した赤布を使っていた。特に南側の男性を包んだ布は、一番外側が真っ赤だった。また、棺内の花粉を分析した金原正明・奈良教育大准教授(古環境学)によると、ベニバナの花粉が高濃度で確認された。 2人の遺体は、古代エジプトで見られるように内臓を取り除くなどミイラ化された可能性があることが95年に報告されている。吉松さんは「悪霊を恐れて赤い布でくるんだのだろう」、金原准教授は「棺内に散らしたとみられる大量の花は葬送儀礼か、防腐用では」とみる。 古墳時代は埋葬前に被葬者を古墳外にしばらく安置する「殯(もがり)」をしたらしい。今回の研究は殯の姿をさぐる糸口にもなりそうだ。 成果は、6日から県立橿原考古学研究所付属博物館である特別展「金の輝き、ガラスの煌(きら)めき―藤ノ木古墳の全貌(ぜんぼう)―」で披露され、朝日放送が同館監修で製作した復元映像も公開される。 PR情報 |