カイロ名物ラムセス2世像お引っ越し 陰謀説も飛び出す
2006年08月26日
カイロの駅前広場の名物として知られる古代エジプトの王、ラムセス2世の巨大な像が25日、引っ越しをする。政府が約30キロ離れた郊外のギザのピラミッド近くまで運び、2011年完成予定の「大エジプト博物館」建設地に移すことになった。だが、ご当地自慢を失うカイロっ子からは像を惜しむ声も続出し、熱い論争が続いている。
 今年6月、移転の工事が始まる前のラムセス2世の像=AP
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 移転に備えて今月22日、クッションカバーに覆われた上、鉄枠で固められたラムセス2世の像=AP
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 ラムセス2世像の引っ越し
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エジプト文化省「今のままでは車の排ガスや地下鉄の振動などで劣化が進む。郊外の自然な環境に移すことにした」
カイロ大学の遺跡保存専門の教授「郊外の砂漠は、砂嵐や寒暖の激しさで花崗岩(かこうがん)製の像にはむしろ危険。スフィンクスのように朽ちてしまう」
文化省が移転を発表したのはこの6月。日本の円借款でギザに新設する博物館への移設保管を決めたのだが、地元紙などではこの夏じゅう賛否両論がぶつかり合った。
責任者である政府の最高考古評議会のトップ、ザヒ・ハワス氏は、この像は長年砂漠に眠っていたものだと強調。「元の環境に戻す方が自然だ」と理解を求めるが、反論は収まっていない。
広場は1日約200万人が行き交う同国随一の交通の要。新聞やインターネットで、「遠方から列車やバスで来た人々が最初に見上げるカイロの象徴だ。それを移すなんて、ニューヨークから『自由の女神』を奪うようなもの」(40代女性)との声が相次いだ。
感情論に油を注いだのは、同評議会の元トップ、ヌルエディン氏が語ったとされる発言の報道だった。ラムセス2世は、預言者モーゼが奴隷状態のユダヤ人を率いてエジプトを脱出した「出エジプト」の時代の王との説が一部にあり、「像の撤去はイスラエル政府が仕組んだもの」と発言したとして、ニュースサイトで報じられた。
発言はインターネットで広がり、さらに「日本もイスラエルの意をくんで像の移設を円借款の条件にした」との説まで報じられた。
これはさすがに文化省が完全否定。ヌルエディン氏本人によると、「イスラエル関係者が、私的な会合で『なぜあの像が中心部にあるのか』と自分に尋ねてきたことはあった」というが、「イスラエルや日本が移転を求めた事実はない」と報道を修正した。ただ、「それだけ人々が像の移転を嘆いていることの表れ」とも指摘する。
政府は予定通り25日朝から移転を始めることを確認。像を鉄枠で固定して特別トラックに載せ、13時間をかけて運ぶという。費用は600万エジプトポンド(約1億2000万円)。
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