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死、再生、創造の美 ビデオアート展「ビル・ヴィオラ――はつゆめ」

2006年10月10日

 ビデオアートの第一人者として世界的に活躍するビル・ヴィオラのアジアで初の大規模な個展「ビル・ヴィオラ――はつゆめ」が14日から、東京・六本木の森美術館で始まる。

 ヴィオラは80年代に日本に長期滞在した。本展では90年代以降の作品を中心に16点を紹介する。最新のテクノロジーと芸術が結びついた創造的な世界が展開する。

 ナムジュン・パイクが60年代にビデオアートを創始して以来、ヴィオラはビデオアートを技術的にも芸術的にも、最も発展させた作家だ。

 特に90年代以降彼を有名にしたのは、コンピューター制御のもと、プロジェクターを使い音と複数の映像を部屋いっぱいに広げた迫力あるインスタレーションだ。00年からは液晶やプラズマの平面モニターを壁に掛け、人物を無音の超スローモーションで映した「動く絵画」とも言うべき作品も発表している。

 彼の作品を貫くメーンテーマは死と再生である。この永遠のテーマをヴィオラは水や火の映像を用いて具現化させる。彼の死の表現は激烈だ。人は水にのみ込まれ、押し流され、火に包まれる。音と映像が鑑賞者の全身を包み、一種の臨死体験をするかのようだ。

 しかし死は単なる死では終わらず、必ず再生が暗示される。人の力を超えた真理を実感させようと試みる。中世の宗教美術が人々の心を深く突き動かしていたように――。ヴィオラの作品は特定の宗教に基づいているわけではないが、彼が生み出すものは最新のテクノロジーを使った現代の宗教芸術と呼んでいいのではないか。

 死と再生のテーマが作品の中ではっきりしてくるのがヴィオラの日本滞在中だ。死者を身近なものとして大切に扱う日本の文化との出会いは、一つの大きな転機となったのである。

◆「人生は動画」ヴィオラのメッセージ

 今度の展覧会で、私は日本でもらった霊感という贈り物にお返しをするように感じている。日本滞在中、私と制作パートナーで妻のキラは多くの人に出会い、日本の文化を学び人生についての考えを深めた。

 かつて京都で私の作品を上映し講演した時、ある若者が言った。「あなたの作品は私が見る夢のようだ。あなたの作品も、私の夢も時々私は理解できない」

 それは最良の感想の一つだ。私たちが「理解した」と言うとき、実際には作品の他の潜在的な意味を殺してしまっていることがよくある。チョウを野に自由に飛ばす代わりにピンで留めてしまう。つまり私たち自身をピンで留めてしまうのだ。動き続け、流れ続けよ。人生は動画で静止画ではない。

 芸術作品は固定された意味を持つのではなく、鑑賞者によって新しい生命を得る。

 だから理解できない作品に出会ったら、目を閉じて心を開き、満たされるべき空き地を自分の中に探してください。そこでいつでも「はつゆめ」を見られるのだから。

    ◇

 Bill Viola 1951年ニューヨーク生まれ。80年に来日して18カ月滞在、伝統文化とビデオ・テクノロジーを学ぶ。その間にテープ作品「はつゆめ」を制作。03年に個展が世界巡回。

    ◇

■14日[土]〜07年1月8日[月]、東京・六本木ヒルズの森美術館(森タワー53階)。午前10時〜午後10時、1月2日[火]を除く[火]は5時まで。入場は閉場30分前まで。無休

■一般1500円、大学・高校生1000円、4歳以上中学生以下500円

■ハローダイヤル:03・5777・8600、ホームページ:http://www.mori.art.museum

 主催 森美術館、朝日新聞社
 助成 アメリカ大使館
 協賛 大林組
 協力 日本航空、ニコラ・フィアット、グレイグース

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