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ネット時代の「著作権」模索 「共有」などの動きも

2006年10月13日

 インターネットとデジタル技術が高度な発達を遂げた新時代、文化の創造はどんな形をとるのが理想的なのか。著作権を独占するのではなく、作品の「共有」や「再創造」を積極的に進めようという動きがネット上で広まりつつある。先ごろ開かれたセミナーや国際的なシンポジウムでも様々な取り組みが紹介された。

 著作物を自由に利用できるようにするため、簡便なルール作りを目指す国際的な民間活動「クリエイティブ・コモンズ(CC)」の日本事務局が先月下旬に開いたセミナーでは、NTTが運営する動画共有サイト「Clip Life」のサービスが紹介された。

■投稿者が判断

 このサイトでは、動画の投稿者は、自分の作品を他人がダウンロードできるか否かを自分で定めることができる。また、具体的な利用についても許可する範囲をCCが提唱するマークで示している。たとえば、「BY:」を丸で囲んだマークは著作者名の表示を求め、「¥」に斜線をひいたマークはその作品で勝手にお金をもうけることを禁止するものだ。

 利用者は、こうした条件を踏まえれば、作品を再利用し、新たな作品の一部に作り替えるなど「再創造」して構わない。

 同種のサービスに「フォト蔵」という写真などの共有サイトがある。またイラストを利用者が次々に描き換えていける「Willustrator」というサイトも紹介された。

■シャツで実験

 こうした「創造の連鎖」をネットの外に広げる試みとして「Cシャツ」という実験も報告された。

 利用者はネット上のサイトで絵や文字、写真を使ってデザインしたTシャツを購入、販売できるほか、Tシャツにプリントされた「QRコード」から、そのTシャツのデザインデータを読み取ることもできる。それを元に、Tシャツのデザインを新たに自分流にも変更できるというもの。今月中旬以降に、実際に購入できるようになるという。

 また、いわゆる「Web2・0時代」の文化の可能性についてのシンポジウムも先月下旬に開かれた。米国の研究者や「オープンソース」運動をしてきたネット関係者、ブラジル政府のデジタル文化担当者など国際的な顔ぶれが集まり、文化の共有という視点から活発な議論が交わされた。参加した日本の作り手からは「世界を変えるのは偉大なアマチュアだ」との発言もあった。

    ◇

●CCの提唱者レッシグ氏、簡便なルール作り提唱

 セミナーとシンポジウムで講演するため、CCの提唱者でスタンフォード大のローレンス・レッシグ教授が来日した。ネット新時代の著作権制度はどうあるべきなのか、聞いた。

 レッシグ氏はネット新時代の技術について「メディアを民主主義化した。映像や音声メディアを使って、誰もが風刺や論評の作品を作れるようになった。リライトやリミックスなど文化の本来の可能性を引き出している」と位置づける。

 だが、著作権を保護しすぎれば、そんなメディアの可能性はつぶされると強調する。「車や家と違い著作物は共有できるのが特徴。しかし、著作者は何の手続きをしなくても何十年間も著作物を独占利用できるのはおかしい」

 そこで、著作権の一部を民間のライセンスによって放棄して自由な流通につなげようというのがCCの活動だ。さらに、より抜本的な改革として、レッシグ氏は創作から一定期間後に著作権登録を義務づける制度を提案している。「ネット経由でマウスを1回クリックして1ドルを支払うだけ。それさえも嫌だと思う人の著作権まで守る必要があるのか」

 米国では著作権の保護期間を作者の「死後70年」に延長した。日本も追随するべきだという声が出ているが、「大きな間違いだ。保護期間が延びても、商品価値は上がらない。死んだ著作者の創作意欲は刺激できない」と厳しく批判した。

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