現在位置:asahi.com>文化・芸能>文化>文化一般> 記事 博物館、ドキュメンタリー映画…いま、ロボットとは2006年12月16日14時34分 産業用ロボットの稼働台数が全世界の半数近くを占め、「ペットロボ」や介護ロボットの実用化研究も進む世界有数のロボット大国・日本。最近では、日本人とロボットのかかわりを見つめる博物館やドキュメンタリー映画も生まれるなど、文化的な側面からも注目が集まっている。 ◇博物館「存在の変遷」見つめる 10月に名古屋市に開館した「ロボットミュージアムin名古屋」は、ロボットと人間の長くて多様なかかわりを、見て触って楽しめるユニークな施設だ。 開館以来、週末には1日の来館者が5000人を超える人気ぶり。海外メディアの視察なども相次いでいる。 ミュージアムは、ロボット関係の雑誌などを出すジャイロウォーク(本社・大阪)などが、もの作りが盛んな名古屋でロボットを紹介しようとつくった。2階建ての展示スペースは延べ約700平方メートル。そこに、ロボットの歴史を紹介するパネルや模型など資料1000点以上が並ぶ。 地球を侵略するロボットが描かれた米国のSFパルプ雑誌の隣には、40年代から輸出された日本製のブリキのおもちゃのロボット。懐かしの鉄腕アトムや鉄人28号の模型やコミック、マジンガーZから機動戦士ガンダム、「ターミネーター」などハリウッド映画の主役たちも登場する。 ギリシャ神話の人造人間に始まり、1920年にチェコの作家カレル・チャペックの戯曲で強制労働を意味する「ロボット」という言葉が初めて登場した歴史を含め、西欧ではロボットは人間に役立つ道具の意味合いが強かった。それが日本では戦後に自立型や操縦型のヒーローとして人気を集め、より身近な存在になった様子がわかる。 一方、展示では産業用ロボットなども交差させながら紹介。ホンダの「ASIMO」、ソニーの「AIBO」などの実物ロボットが展示され、実際に触ったり遊んだりできるコーナーもある。 展示を監修した技術評論家の永瀬唯さんは「日本ではこの30年、ロボットはサブカルチャーとして生活に入り込んできた。どんな存在としてとらえられてきたのか、その変遷を見てほしい」と語る。 施設は10年夏までの期間限定の開設。年に数回、アートやデザインの視点でロボットをとらえた企画展も開く予定だ。 ◇映画「人間との関係」を追う デンマークの映画監督フィーエ・アンボさんが製作する「メカニカル・ラブ」は、ロボット先進国である日本で今、ロボットと人間の関係に何が起きているのかを追ったドキュメンタリーだ。この夏、撮影のため来日、各地を取材した。 映画には、高齢者施設などでのセラピー用として開発されたペットロボット「パロ」の組み立て工場(富山)や、京都のATR知能ロボティクス研究所客員室長の石黒浩・大阪大教授が開発した自分そっくりの外見で遠隔操作ができるアンドロイド「ジェミノイド」などが登場する。 企画のきっかけは、3歳の娘が、センサー付きの人形にひどく夢中になる様子を見たことだったという。「『人間は自分が作り出したものに愛を感じることができるのか』という疑問が出発点でした」 イタリアの老人ホームで、パロの効果を調べている研究者と知り合い、その様子を撮影した。「パロを抱いた高齢者が、自分に子どもがいた若い頃を思い出したように歌い出した姿が印象に残っています」。日本では、パロを可愛がり、どこにでも連れて行く和歌山県の夫婦を取材した。ペットに替わる存在として愛情を注ぐ姿に驚いた。 また、「ジェミノイド」を通した他人とのコミュニケーションなどの研究からは、人間とは何かという根源的な問いかけを感じたと振り返る。 「神だけが生命を創造できる存在」とされるキリスト教信仰が根付く欧米では、ロボットのような疑似的生命を作ることを神への冒涜(ぼうとく)と感じる傾向があるといわれる。 「私自身はロボットに恐れを抱いたことはありません。老人ホームにパロがいることをゆがんだことと考える人もいる。でも、高齢者はパロに愛情を持つことで、癒やされている。パロはまさにバリヤーを壊す存在なのだと思います」とアンボ監督は語る。 「頭ではロボットと理解しても、心では愛を感じてしまう。そんな頭と心の差こそが面白い」 映画は07年12月の公開を目指して撮影が続けられている。 PR情報この記事の関連情報文化・芸能
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