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能翻訳の格闘、聴衆に伝える シンポでタイラー氏

2007年01月18日

 「源氏物語」の全訳で知られる日本文学研究者のロイヤル・タイラー氏(70)が法政大で昨年暮れに開かれた国際シンポジウム「能の翻訳を考える」(主催・同大能楽研究所)で、足かけ40年に及ぶ謡曲の英訳活動を振り返った。「翻訳したのは35曲前後。数年前に最後の翻訳『源氏供養』を完成した」と話した。

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ロイヤル・タイラー氏

 8年がかりで02年に全訳したタイラー訳「源氏物語」は、アーサー・ウェイリーとサイデンステッカーに続く、3番目の英訳。「源氏物語に頻出する和歌の翻訳は、謡曲を翻訳する訓練になった。最終的に七五調でも英訳出来た」

 米・コロンビア大でドナルド・キーン氏に導かれたタイラー氏は、世阿弥研究など内外の新しい学問成果を翻訳に採り入れた。「深く内容や人物の心理に踏み込み、文学の香気があふれる名訳」(山中玲子・法大教授)と評価されている。

 とくに「松風」の名訳は有名。タイラー氏は講演で、原文と英訳文を対比させながら推敲(すいこう)の過程を説明。英語で三つの意味を重ねる掛けことばの技法などは、刺激的な文化の格闘だったことが、100人を超す参加者に伝わった。

 来日のたびに書店に足を運ぶ。「書棚から日本古典の本がどんどん消えている。文字文化よりビジュアルな文化を好む若者の傾向は、先進世界に共通している」と話していた。

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