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「腐女子」マンガがブレーク中

2007年02月03日12時56分

 男同士の愛を描いたマンガや小説が大好きな女性オタクがいる。「腐女子(ふじょし)」と呼ばれるそんな女性たちの登場するマンガが人気だ。オタク男子とまったり恋をしたり、独特の妄想で周囲を戸惑わせたり。「電車男」でブレークした男性オタクに続いて注目を集める「腐女子」世界。ついていけますか?

マンガ「となりの801ちゃん」から©小島アジコ/御薗橋801商店街振興組合/宙出版

 「となりの801(やおい)ちゃん」(小島アジコ作、宙出版)は、「オタク会社員」である作者が実生活を基に、腐女子の彼女「801ちゃん」を描いた。ブログで発表した作品が出版社の目に留まり、かき下ろしを加えて単行本になった。昨年12月の発売から1カ月で10万部を突破した。

 腐女子は、アニメやマンガで魅力的な男たちを見るや、「男同士の愛」の妄想に没入する。カップルにされるのはアイドルやスポーツ選手、戦国武将、身近な男性と何でもあり。801ちゃんは、作者の小島さんまでネタにして妄想をめぐらせ、ついていけない彼をぼうぜんとさせる。愛らしい外見とのギャップが笑いを生む。

 担当編集者の中江陽奈さんによると、アンケートでは読者の7割が女性だ。「腐女子独特の思考が、鋭い観察眼とセンスのいい距離感で描かれている。『あるある、こんなこと』と共感し、知らない人には新たな発見が面白いのでは」

 昨年末完結した「げんしけん」(木尾士目作、講談社)は大学のサークルを舞台に、オタク男と腐女子の恋をリアルに描いてヒットし、アニメ化もされた。「辣韮(らっきょう)の皮」(阿部川キネコ作、ワニブックス「コミックガム」連載中)は、高校のマンガ研究部に集う個性的な男女が、Hな同人誌を作ったり声優を目指したり。「妄想少女オタク系」(紺條夏生作、双葉社「コミックハイ!」連載中)は、腐女子に恋した非オタク男子の物語だ。

 東京・池袋には腐女子向け同人誌を扱う店などの集まった「乙女ロード」があり、昨年あたりからこの場所や腐女子を取り上げる雑誌、バラエティー番組が目立ち始めた。「オタク男子の次は腐女子が来る、と読んで、出版の機会を狙っていた」と中江さんは言う。

 「腐女子は、魅力的な男性が出ていれば、少年マンガもロボットアニメも特撮ヒーローものもみんな好きで、グッズやDVDにお金を使ってくれる。だから作り手側も、腐女子が好む要素を入れる。経済的に無視できない層だと分かって、一般の注目も集まってきたのでしょう」

 こう分析するのはリブレ出版の三好久子さんで、「ボーイズラブ」と呼ばれる男同士の恋愛マンガや小説を数多く出版する。

 「腐女子の胸の内は『市民権を得るのはうれしいけれど騒がれるのは嫌』『趣味の世界を侵されたくない』。だから、自分の趣味を認めてくれるか放っておいてくれるオタクの彼なら欲しい、という人は多いと思う」と三好さん。

 アンケートやネットで、彼氏公認で腐女子趣味を楽しむ女性たちの声に触れた中江さんは、こんな感慨を抱く。「女性を縛るカセが外れ、恋愛の自由や職業の自由に加えて『欲望の自由』まで得ちゃったのかな」

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