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〈現代雑誌事情:上〉個性薄れ落ち込む部数

2007年02月06日11時53分

 雑誌の不振が深刻だ。出版科学研究所によると、昨年の推定販売額は約1兆2200億円で05年と比べ4.4%減。9年連続の減少で、しかも99年の4.2%をしのぐ過去最大の落ち込みとなった。「下げ止まる気配はまだみられない」(同研究所)という雑誌に展望はあるのか。現状と、その打開のための取り組みを見ていく。

グラフ  

 週刊誌革命――。「週刊現代」は昨年末、こう宣言して大胆なリニューアルに踏み切った。売り物だったグラビアは抑えめに。代わって前面に出てきたのは、ニュース性を意識した独自記事だ。「機動性を生かし公権力からフリーな立場でプロの編集者、記者が伝える」と加藤晴之編集長。雑誌ジャーナリズムの原点への回帰を図っている。

◆軌道を修正

 一方、同じく講談社が発行する20〜30代前半の男性向け雑誌「KING」では、原田隆編集長の奮闘が続く。昨年9月の創刊号は男性誌としては強気の23万部。だが実売は半分に届かなかった。当初の総花的内容から、4号目以降は20代前半に関心の高い「仕事」「女の子」「カルチャー」を軸に軌道修正している。

 日本ABC協会調べの昨年上半期の平均実売部数を96年と比べると、劇的な変化が読み取れる。「週刊現代」72万→44万、「週刊ポスト」(小学館)86万→40万、「non・no」(集英社)94万→34万、「with」(講談社)74万→36万、「Tokyo Walker」(角川クロスメディア)40万→8万……。

 49万→50万の「週刊新潮」(新潮社)や、63万→57万の「週刊文春」(文芸春秋)、12万伸ばして64万になった「CanCam」(小学館)のような例もあるが、少数だ。目立つのは「現代」「ポスト」「with」など大部数を誇っていた総合型雑誌の衰退だ。

 女性誌を例にとると、ファッションの入門誌的役割を持つ「non・no」はかつて高校生から20代後半まで幅広く読まれていた。しかし、90年代後半以降に登場した「Cawaii!(カワイイ)」(主婦の友社)や「PS」(小学館)などが高校生や20歳前後向けに方向性を明確にして一定の部数を得た結果、大きく落ち込んだ。

 広告会社電通で19年間雑誌を担当したメディア評論家の吉良俊彦さんは、読者の「自分意識」の拡大があるという。「かつては『他人が読むから自分も読む』だったが、今は『他人とは違う自分』が前面に出て雑誌の選択につながっている」

◆ネット普及

 落ち込みの大きな原因として出版関係者が共通して挙げるのは、インターネットや携帯電話の影響だ。以前なら雑誌に頼っていた情報が新しいメディアを通して簡単に入手できるようになった。

 しかし、メディア事情に詳しいミュージシャンのサエキけんぞうさんは、別のところに雑誌の落ち込みの根本的原因を見る。「新しいスタイルを生み出せていない。60年代の『少年マガジン』など週刊漫画誌の斬新な内容、70年代の『anan』などマガジンハウス系雑誌の革命的なビジュアル編集など、ワクワクする時代があった。でも、読者の一歩先を行く姿勢は70年代末までで終わってしまった」

 その分岐点の80年前後に起きたのは雑誌の本格的なカラー化や大判化だ。広告の受け皿としての体裁は整ったが、同時に画一化が進んだ。和光大教授で評論家の津野海太郎さんは「80年頃からのスタイルがマンネリ化したということではないか」と指摘する。

 「雑誌は主張と表現、それを支える気分や作り手の人間関係への興味が読者を誘い、『参加したい』という忠誠心をもたせる。でも今は市場リサーチの結果、特集も登場人物も似たものになった。この時期はこの特集、ということまで決まっている。個性を失った雑誌に忠誠心など生まれるわけがないでしょう」

 もちろん、数少ない成功例を追う雑誌にも新味はない。商品購買力のある読者をつかみ、毎号億単位の広告収入を稼ぐ男性誌「LEON」(主婦と生活社)の成功をうけた類似誌が、目立った成果を残せていないのは象徴的だ。

◆「せめて志を」

 ネットや携帯に加えフリーマガジンも登場した今、わざわざお金を払って手に入れたいと思わせるだけの内容を読者に示せるかどうか、だ。

 津野さんは「画一的な雑誌で育ってきた今の編集者に新しい何かを生むことができるかどうか。せめて、ほかのまねはしない、という志をもってはどうか」と投げかける。

 雑誌は、ふたたび忠誠心のささげ場所となることができるのだろうか。

    ◇

 4割弱占める漫画急落

 雑誌販売額のうち漫画(雑誌と単行本)が全体の4割弱を占める。「少年ジャンプ」「少年マガジン」はこの10年間に、1号あたりの発行部数が200万部近く減っており、漫画誌の急落も雑誌全体の落ち込みにかなり影響している。

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