〈現代美術家:会田誠〉森美術館「笑い展」に出品、「潜む毒」にメッセージ
2007年02月16日
テレビ画面の中で色黒の男がこたつに入っている。頭にターバンを巻き、長いひげを蓄えている。こたつの上には日本酒の瓶や湯飲み、カップ焼きそばが雑然と載る。ほろ酔い気分の男がこぼし始める。「テロリスト、インタイシマシタ」「ココハ、ヌルマユデスネ」「マ、ココデ、ホネウズメヨウト、オモッテマス」
 会田誠さん
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東京・六本木の森美術館で展示中の「日本に潜伏中のビン・ラディンと名乗る男からのビデオ」という作品。男に扮しているのは作家自身だ。05年に制作して以来、これまでロンドン、シンガポール、日本、イタリア、韓国で公開され、再び日本に戻ってきた。
「三脚据え置き、言いっぱなし、編集無し。僕にとってビデオって一番手を抜くメディア。おまけのつもりで作ったが、映像作品で初めて引っ張りだこになった」
なるほど、どの作品にも毒が潜む。農道を描いた東山魁夷の「道」が、この作家の手にかかると、少女の髪の真っすぐな分け目に重ねられる(「あぜ道」)。ニューヨークを零戦が空爆する「紐育空爆之図(にゅうようくくうばくのず)」(「戦争画RETURNS」シリーズ)、裸の少女をペットにした「犬」のシリーズもある。
東京芸術大で油絵を学んだ。オークションで作品に1億円超の値が付く村上隆さんと同世代。だが、「ニューヨーク中心のコンテンポラリーアート(現代美術)に、それほど強い帰属意識はない。僕は日本人に見せるつもりで作っている」。
この夏、東京・西荻窪から、九十九里浜に近い千葉県東金市に住まいを移した。アトリエとして利用できるプレハブ付きの中古住宅を買った。浜につながる平らな景色は、故郷の新潟市とそっくりだ、という。
5月には東京の上野の森美術館で、山口晃さんとの2人展を控える。現在、制作中の大作を見せてもらうと、スクール水着を着た少女が渓流でニコニコしながら遊んでいた。
「僕の絵は正当な芸術としての絵画ではないけれど、毒があるから芸術と見なされてきた。それでは、毒を抜いたらどうなるか? ただのイラストに転落するのは目に見えている。それでも『どイラスト』でいいんじゃないかと」
何重にもねじ曲げられた真意はどこにあるのだろうか――。それを見つけようとすればするほど、作家の術中にはまっていくようだ。
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会田誠(あいだ・まこと)
65年、新潟市生まれ。東京芸術大学院研究室科終了。小説「青春と変態」やマンガ「ミュータント花子」の作者でもある。東京・上野、上野の森美術館での「アート展で候。」展(5月20日から)は初の大規模展になる。
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