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世界駆けたアーウィット 東京で回顧展

2007年04月11日15時57分

 車のドアミラーに映るカップルの幸福な情景をとらえたスナップショットなどで知られる、米国の写真家エリオット・アーウィットの回顧展が東京で開かれている。日本ではすでに数度個展があったが、今回は半世紀以上にわたる作品の中から自選したベストショットばかり。来日したアーウィットに聞いた。

写真エリオット・アーウィットさん=東京都内で
写真「サンタモニカ、カリフォルニア」1955年 ©Elliott Erwitt/Magnum Photos
写真「パリ、フランス」1989年 ©Elliott Erwitt/Magnum Photos

 アーウィットが本格的に写真家として活動を始めたのは53年。戦争報道で知られるロバート・キャパらが47年に創設した写真家集団マグナム・フォトに「キャパ本人から推薦を受け」参加した。

 その後の活躍はめざましい。ケネディ米大統領の葬儀で悲嘆にくれるジャクリーン夫人をとらえ、キューバではチェ・ゲバラの肖像を撮影した。冷戦のさなか、旧ソ連への取材も敢行。「鉄のカーテン」に閉ざされた社会の実相を、市民の姿も含めて欧米の雑誌で伝えた。

 「自分が関心を持ったテーマを、自分の意思で撮影した。実り豊かな時期だった」と振り返る。「でも、しばしば写真が売れなくて苦労したがね」

 見るものを魅了するのが、人々のなにげない振る舞いや子ども、犬など小さな存在を絶妙のタイミングでとらえたスナップショットの数々。温かくユーモラスで、機知に富み、同時に哀切さをたたえる。

 アーウィットは28年、ロシア革命を逃れた両親のもとにパリで生まれ、イタリアで幼年期を過ごした。ファシスト政権を嫌ってフランスに移り、ナチスから逃れて39年、最後の客船で渡米。20世紀の激動を体現したような半生だった。「他に選択肢はなかったが、そうした経験が私の世界に対する反応や、写真を撮る視線に影響しているのだろう」

 今回の展示のベースは06年に出した写真集。過去の膨大なフィルムを点検し、集成した約340点の中から、北野武、糸井重里、スティングら内外の著名人52人が71点を選んでいる。

 「自分の写真を見直すのは楽しい。でも、それは無駄に過ごした人生の時間に気づくことでもある」と肩をすくめた。

 5月6日まで、東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホール(03・5447・3079)。無料。

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