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見たことないのに懐かしい 藤森流「建築の楽しみ」

2007年05月02日11時21分

 建築史を研究し、路上でうろうろ観察し、自ら住宅や茶室まで設計して建ててしまう。そんな東京大教授で「建築探偵」こと、藤森照信さん(60)がいま、二つの展覧会を開いている。藤森流「建築の楽しみ」とは何なのだろうか。

写真藤森照信さん
写真東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「藤森建築と路上観察」展
写真メゾンエルメス8階フォーラムで開催中の「メゾン四畳半 藤森照信」展

 屋根にタンポポを植えた自邸「タンポポハウス」や、地上約6メートルの高さの樹上に建てた茶室「高過庵(たかすぎあん)」など。藤森さんは、土や木など自然素材を使った「毛深い」建築で知られる。

 その全作品を紹介しているのが、東京・初台の東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「藤森建築と路上観察」展だ。

 昨年、赤瀬川原平さんらと参加した、イタリアのベネチア・ビエンナーレ建築展の帰国展。竹と縄で作ったドーム形シアターを1.5倍で再現したほか、温暖化で水没した東京の100年後の姿を構想した「東京計画2107」や、土を盛り上げて作る「土塔」の約5メートルの模型などを加えた。

 東京・銀座のメゾンエルメス8階では「メゾン四畳半 藤森照信」展を開催。関係者と三つのチームを作り、「火があること」「人を招くことができる」などの条件で、小屋を制作過程から公開している。

 ともに「建築家・藤森照信」としての展覧会。まず世に認められた建築史家や建築探偵としてではないが、「今、一番楽しいのは設計。スケッチブックに描いていると、心が晴れて疲れがとれる」とご本人。

 『日本の近代建築(上下)』(岩波新書)と『丹下健三』(新建築社)を書いたことで、「一応建築史の学者としての責務を果たした」とも話す。

 ただし、「ぼくは建築家として絶対に自分の建築を分析しない。言葉にすると発酵が止まる」と言い切る。他人が分析してくれるのは、大歓迎なのだが。

 うれしかった分析の一つが、「見たこともないのに懐かしい」というもの。

 「ぼくはモダニズム建築から、マッス(量塊)や表面の処理など多くを学んだけど、造るのは既存のモダニズム建築とまったく似ていない。だから『見たことない』と言われる。『懐かしい』といわれる建物にはふつう地方性があるが、それも避けてきた。縄文時代までさかのぼれば、日本の民家もアフリカの民家も大差ない。同じインターナショナルなんです」

 そして、今造りたいのは「うんとでかいもの」だ。藤森さんは15年前、朝日新聞東京版に『タンポポ咲く超高層ビル設計依頼待つ』という原稿を寄せた。風にそよぐタンポポに覆われた超高層ビルも、見たことないけど、きっと懐かしさを感じさせるに違いない。

 「注文はまだない。だけど、今も募集中です」

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