現在位置:asahi.com>文化・芸能>文化>文化一般> 記事 NHK「きょうの料理」50周年 日本の食卓支えた3万品2007年05月17日15時34分 NHKの「きょうの料理」が今年11月、放送開始から50年を迎える。栄養不足から飽食の時代へ。ただひたすらに「作って食べる」ことを伝えてきた番組の半世紀には、世相も映した日本の食卓の変化が刻まれている。 経済白書が「もはや戦後ではない」とうたった翌年の57(昭和32)年11月、10分間の生放送で「きょうの料理」は始まった。以来、半世紀に放送したレシピは3万以上、出演した講師は計約1700人に上る。 現在、番組を制作しているNHKエデュケーショナルの湯川英俊担当部長によると、当時の献立は大都市の大手スーパーや県庁所在地のデパートで入手できる食材と調味料で作れる、という基準で考えたという。「常に時代の半歩先をというコンセプトは今も受け継がれている」と話す。 30年余り携わった元チーフディレクター若山慧子さんは「あこがれの料理を家庭で作るには、当時手に入る材料で何とかするという工夫が必要でした」。 スタート時は洗濯機、白黒テレビとともに三種の神器と呼ばれた冷蔵庫の普及率は10%以下。国民の4人に1人は栄養不足とされていた。50年代末〜60年代前半に放送した献立には「ドイツ風レバー料理」「シーフッドピラフ」「ナポリ風のスパゲッティ」など、あこがれの洋風料理も並ぶ。 この時代、帝国ホテル料理長だった村上信夫さんは「スパゲティがゆであがったら冷水で洗う」と教えた。セモリナ小麦のパスタはまだほとんど出回っておらず、水洗いしてコシを出すしかなかったのだ。 高度成長時代、放送時間は63年に20分間になり、65年から料理の分量が5人前から4人前に。67年に「スピード料理」、69年には冷凍食品を使った献立がお目見えする。日本に麻婆(マーボー)豆腐を広めた陳建民さんはこの頃に初登場する。 一方で、核家族化などで味の伝承が難しくなり、伝統的な日本食への関心が高まる。土井勝さんらが教えた「正月料理」の特集は、テキストが売り切れるほどの人気だった。 70年代後半には、成人病を防ぐ低カロリーや減塩食の特集が反響を呼んだ。若山さんは「減塩でもおいしく、という考え方自体が画期的だった」と振り返る。 80年代後半のバブル期以降はグルメブームで視聴者の舌も肥える。イタリアンの片岡護さん、和食の道場六三郎さん、中華の陳建一さんらスターシェフや「鉄人」が相次いで出演した。 50周年の今年。番組で紹介した献立の材料表を「お買い物メモ」として携帯に配信するサービスを始めると、登録者は3万5000人を超えた。初心者向けに「きょうの料理ビギナーズ」という5分番組も開始。4月のテキストは初版18万部がほぼ完売し、増刷した。 子育てをしながら番組作りをした若山さんは言う。「献立の傾向は時代で変わっても、食が健康の基本なのは同じ。とにかく作ってもらいたいと思ってやってきた。家族で食卓を囲む楽しさ、作ることで伝わる愛情はきっとある。それが平和ということにもつながっていくように思うのです」 PR情報この記事の関連情報文化・芸能
|
ここから広告です
広告終わり どらく
鮮明フル画面
一覧企画特集
ショッピング特集朝日新聞社から |