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浄土真宗本願寺派・大谷門主 OBサミットで積極発言

2007年05月26日15時13分

 約30カ国から35人の元大統領・首相らや宗教指導者が集まり、ウィーンで23日まで開かれたOBサミットで、浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺)の大谷光真門主が日本の仏教界を代表し、平和のメッセージを送った。「人を恨み、仕返しをしてはいけない」。紛争が紛争を招き、テロがテロを呼ぶ現状への深い悲しみであり、しばしば「旧態依然」と批判される日本の仏教界への反省も込められている。慎み深い人柄で評判の大谷門主が、なぜ積極発言に転じたのか。

写真宗教指導者と談笑する浄土真宗本願寺派の大谷光真門主=ウィーンで

 ◇OBサミット「宗教の危険性」踏まえ

 今年で25回目のOBサミットは21〜23日に開かれ、日本から大谷門主、塩川正十郎・元財務相、杉浦正健・元法務相が参加した。中東で続く紛争やテロを受け「宗教指導者との対話」が主要議題になった。

 大谷門主はイスラム教、ヒンドゥー教、ユダヤ教、ギリシャ正教、プロテスタントなど10人の宗教指導者の一人として、22日の討論に臨んだ。

 「国連に宗教と政治の指導者が意見交換できる場を設けてはどうか」という提言もあったが、概して目立ったのは、元政治指導者からの厳しい意見だった。

 「寛容を説く宗教から、非寛容な原理主義者が急増しているのはなぜか」

 「宗教指導者は、もっと宗派内の統制に力を尽くすべきだ」

 逆に、スンニ派指導者は為政者側の責任を問うた。

 「一部に富が集中し、多くは社会の隅で暮らす。原理主義の台頭は、そうした社会の不均衡も原因だ」

 杉浦・元法務相は、戦前の国家神道の歴史を踏まえながら、政治が宗教を悪用する危険性を指摘した。

 そうした議論のなかで大谷門主は、釈尊の言葉とされる「怨(うら)みに報いるに怨みを以(も)てしたならば、ついに怨みの息(や)むことがない」を紹介し、仏教の「非暴力」思想を強調。「仏教の原理主義者がいたとしたら、武力紛争を招くことはあり得ない」と、名指しは避けながらも、イスラム原理主義への憂慮の念を示した。

    ◇

 大谷門主の積極発言を印象づけたのは、ワイツゼッカー元ドイツ大統領の「日本の仏教はこれまで何もしてこなかったことで、世界に害も与えてこなかった」という発言への返答だ。

 「何もしないということは、悪いことをそのまま残していることです。(これからは)何かをすることが大切だと思っています」

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 浄土真宗本願寺派は、国内最大規模の伝統仏教教団で、教団トップの大谷門主は温厚篤実な人柄で知られる。政治や紛争に関する発言は少なく、海外で発言するのは初めてだ。西本願寺の重要行事である20、21日の「降誕会(ごうたんえ)」(宗祖・親鸞の誕生日の法要)と重なったが、渡航を優先した。

 現地でインタビューに応じた大谷門主によると、今回の発言の伏線は、05年の立命館大での討論にあるという。宗教と戦争のかかわりを学生から質問されたのを機に「宗教そのものに危険性があるのではないかと思い直し、平和に積極的に貢献するのが宗教者の責務と考え始めた」と話す。

 05年には、西本願寺を狙った右翼団体会長の放火未遂事件も経験。靖国神社への首相参拝に浄土真宗本願寺派が反対したためだが、「どんな理由があれテロは許されない」との思いも強くしたという。

 さらに昨年夏、京都に宗教指導者らが集まり、世界宗教者平和会議(WCRP)が開かれたことで「宗教をめぐる争いのない日本は、宗派間の紛争を調停できる貴重な立場にあると痛感した」。ただし、大谷門主は急病で開会直前に欠席し、練り上げた開会あいさつは幻に終わった。その思いを抱いて、今回参加した。

 今年春には、立命館大での討論などをもとに現代社会と仏教を考える『世のなか安穏(あんのん)なれ』(中央公論新社)を出版し、宗教者が市民にわかりやすく語りかける大切さを強調した。ウィーンで実践した格好だ。

 大谷門主がスピーチで引用した釈尊の教えは、23日に発表された大会声明に盛り込まれ閉幕した。「ありがたいことです」。感想はあくまで控えめだった。

    ◇    ◇

 OBサミット 正式名称は「インターアクション・カウンシル」。故福田赳夫・元首相の提唱で1983年に設立。各国の大統領・首相経験者らがメンバーで、毎年世界各地で開催。今回はシュミット元西ドイツ首相、モンデール元米副大統領らが参加した。

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