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「律儀にオチをつけた」 第1回大江賞の長嶋有さん

2007年05月27日11時02分

 第1回大江健三郎賞を『夕子ちゃんの近道』(新潮社)で受賞した長嶋有さんと大江さんとの公開対談が18日、東京・音羽の講談社社内ホールで開かれた。ご褒美は賞金ではなく、海外での翻訳出版という異例の文学賞。受賞作への評価、創作のヒント、執筆スタイルなどをめぐって、70代のベテランと30代の気鋭との対話は軽妙に弾んだ。

写真大江健三郎氏(右)と長嶋有氏=東京・音羽の講談社で

 大江さんは受賞作について「子供は近道を持っているが、成人で近道を持つ人間を考えたのは独創的」と評した。「文章を短くして正確にするということが自覚的になされている。川上弘美さん、小川洋子さんの作品もそう。逆に、無意識に短くする人は先細りだと思う。たくらみようがないから」とも語った。

 長嶋さんは「オチを付けることを律義にやろうと思った作品」と自作を振り返った。「最後の7話は蛇足だ、という批評があったが、大江さんに『僕はそう思わない』とおっしゃっていただき報われた。風船は膨らませた後に結わえないと風船にならない。6話までで息を吹き込み、7話は結わえる作業だった」

 また大江さんが「僕は本を読むことでしか何かを採り入れることがない人間。あなたはどんなふうに栄養を?」と尋ねると、「魚の取れない地方ではヤギの乳をとるように、本以外にも栄養はある。僕の場合は、現実を感受することや漫画、音楽の歌詞」を挙げ、新旧世代の違いが浮き彫りになった。

 一方、最近初めて大江作品を読んだという長嶋さんは「最新の3部作(『取り替え子』『憂い顔の童子』『さようなら、私の本よ!』)に一番衝撃を受けた。大江さんは今を書いている」と賛辞を送った。大江さんは「自作を翻訳で読むと、自分の人物像に新しい光が当たる。英語の本を読める語学力をつけてください」と締めくくった。

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