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時代は「ニッポン」? 映画、TV、本のタイトル続々と

2007年06月13日11時07分

 最近、なんだか「ニッポン」が目につく。本や映画、番組のタイトルなどなど。「日本」を「ニホン」ではなく「ニッポン」と呼ぶ時、そこにはどんな気分がはたらいているのだろう。

◆よそゆき感覚、海外意識?

 公開中の松本人志監督の映画「大日本人」は「ダイニッポンジン」が正式名。だが監督自身はテレビ出演などで「ダイニホンジン」と呼んでいた。意識して使い分けているのかと映画の宣伝担当者にたずねたら「深い意味はないと思います――」。

 話す時に「ニホン」と発音する人が多いことは、国立国語研究所などの調査でも明らかになっている。ではあえて「ニッポン」にするのはどんな意味が込められているのか。

 NHKの昭和の看板番組には、ドキュメンタリーの嚆矢(こうし)「日本(にほん)の素顔」や「新日本(にほん)紀行」があるが、最近は「ドキュメント にっぽんの現場」や「おーい、ニッポン」などが目につく。

 「ニホンは、静的、変わらない感じがある」というのは、NHK「爆笑問題のニッポンの教養」の丸山俊一チーフプロデューサー。「“日本(にほん)の教養”とするとある時代に“固まったもの”という感じ。時代のルールが目まぐるしく変わる“いま”の教養とは何かを考える番組なので、素直にニッポンに。あくまでニュアンスですが……」

 集英社新書『ニッポン・サバイバル』(姜尚中著)の担当編集者の落合勝人さんも「ニッポンに国を相対化したいという思いを込めた」という。新書市場で話題になった『美しい国へ』や『国家の品格』には「日本(にほん)」を感じるという。そういえば麻生太郎外相の近著も『とてつもない日本(にほん)』だ。

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 では「ニホン」を選ぶ時の気分は?

 「ニッポンは、よそゆきの感覚。内輪ではニホンで、普段着の感覚。わたくしとわたしの使い分けに似ている」というのはCMプランナーの麻生哲朗さん。資生堂「TSUBAKI」のCMで、SMAPが「ようこそニホンへ」と歌う「Dear WOMAN」を作詞した。

 こう麻生さんが指摘したイメージは、実は戦前とあまり変わらないようだ。NHK放送文化研究所の宮本克美さんによると、1934年にNHKが国号「日本」を放送上は「ニッポン」と読むように決めた審議の中で、「広辞苑」の編者で知られる新村出・京都帝大教授(当時)ら7人の委員が、両方の発音の印象の違いを分析している。当時の記録には、ニッポンは「若々しい元気がある」「対外的・国家的にあらたまった気分」などを示し、ニホンは「老成な感じ」「国内で家庭的にくだけた気分」などとある。

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 「ニッポン」を選ぶ今ならではの理由はないのか。自信回復期との関係を指摘するのは「ニッポン旅×旅ショー」の演出を手がける読売テレビの中村元信ディレクター。「70、80年代は米国にあこがれたけど、今は日本人が大リーグで活躍し、ファッションやアニメは世界から注目される。身近な分野で他国から認められるようになったころから“ニッポン”が増えた感がある」

 「70〜80年代は“ジャパン”が脚光をあびていたのでは」というのは、『アイドルにっぽん』の著者でコラムニストの中森明夫さん。旧国鉄のCM「ディスカバー・ジャパン」にベストセラー『ジャパン・アズ・ナンバーワン』、リゲインのCMは「ジャパニーズビジネスマン」とうたっていた。雑誌も「ロッキング・オン・ジャパン」など。中森さんが変化の兆しを感じたのは90年代後半だ。92年に誕生した政党は日本(にほん)新党だが、05年にできたのは新党日本(にっぽん)、99年に創刊されたファッション雑誌「ヴォーグ」の日本版は「ヴォーグ ニッポン」だ。

 “ニッポン”現象について中森さんは、「サッカーなどの応援で一気に広まったことと、昭和がとうに終わり、国の名前を出すことが即ナショナリズムにつながるという感覚ではない世代が増えて、広まっているのでは」と推察している。

◆「ニホン」か「ニッポン」か

 内閣府によると国号「日本」の正式な呼び方は決められていない。文部科学省によると教科書には「ニホン」も「ニッポン」も両方使われているという。切手には「NIPPON」、お札には「NIPPON GINKO」と入っている。NHKは国号としては放送上「ニッポン」と読む。国名の正式呼称については、NHKの03年の世論調査で、どちらがよいかたずねたところ、「ニホン」は61%、「ニッポン」は37%だった。

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