現在位置:asahi.com>文化・芸能>文化>文化一般> 記事

野坂昭如ルネサンス 岩波現代文庫から刊行

2007年06月19日12時51分

 岩波現代文庫が、「野坂昭如ルネサンス」と銘打って、『好色の魂』『水虫魂』の2冊を皮切りに、70年代までの小説作品を来年3月まで隔月1冊、計7冊刊行する。

写真『好色の魂』と『水虫魂』の2冊

 カバー表紙はイラストレーター和田誠さんの描き下ろし。戦後の知的営為を対象にした同文庫で、個人の文芸シリーズは初めてという。「野坂さんの文庫本でいま手に入りやすいのは、『エロ事師たち』『アメリカひじき・火垂るの墓』などわずか」と編集部。「小説を文庫で読めるようにしたい」と企画された。

 思えば60年代後半から70年代にかけて、マスメディアを通して最も存在感のあった作家は「野坂昭如」ではなかろうか。

 テレビに積極的に出演して「焼け跡・闇市派」を称し、サングラスで意図的に「いかがわしさ」をふりまきつつ、反権力の論陣を張る。歌を歌い、CMにも出る。大学祭で生でも聴いた「まりりんもんろーのーりたーん」のフレーズは、30年以上たった今も耳から離れない。文字の世界でも、文章の呼吸の複雑な、あの改行の少ない黒っぽいページが、あちこちの雑誌にあった。

 今回復活するのはこのほか『マリリン・モンロー・ノー・リターン』『騒動師たち』『とむらい師たち』『骨餓身峠死人葛(ほねがみとうげほとけかずら)』『童女入水』。いまも古びないどころか、底光りを放つような作品群だ。

 ご本人は03年の脳梗塞(こうそく)から少しずつ回復し、新聞や月刊誌で定期的に登場し始めている。こちらもいよいよ本格的「ルネサンス」が待たれる。

PR情報

このページのトップに戻る