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著作権で世界に挑む 美術家・村上隆

2007年07月19日14時17分

 日本の「オタク」文化や原爆などをテーマにしたアートで国際的に活躍する美術家の村上隆さん(45)が、今度は「コピーライト(著作権)」で世界に挑む。回顧展「(C)MURAKAMI(コピーライト・ムラカミ)」が今年10月から、海外3カ国4都市を巡回する。東京で開かれた会見では、会場となるアメリカ・ロサンゼルス現代美術館(MOCA)の館長らが来日し、「村上にはアートを社会に浸透させる力がある」と期待を語った。

写真作品の前に立つ村上隆さん(左)とポール・シンメル・米ロサンゼルス現代美術館チーフキュレーター

 「(C)MURAKAMI」展は10月から09年5月まで、MOCAやニューヨークのブルックリン美術館、ドイツのフランクフルト近代美術館、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館を巡回する。「自身の第1期を振り返る節目」という回顧展には、91年から現在までに手がけた、フィギュア作品や絵画など90点以上が出品される。

 新作として、高さ5.5メートルのアルミ製の彫刻「大仏オーヴァル2007」を制作中だ。カッパのような姿は、仏教やヒンドゥー教、中国の文化などを混在させた造形で、現代日本の文化的状況や文化の変遷を暗示するという。人工知能が支配する世界を描く新作アニメ「Kaikai&Kiki」も発表する予定だ。

 展覧会のタイトルは、自身の名前と版権や著作権などを意味する「(C)」を組み合わせた。同展を企画するポール・シンメル・MOCAチーフキュレーターは「アーティストには、自分の運命を切り開いていく権利や、自身で公的なイメージを形作る意志があることを込めた」と話す。

 個と公、ものとアイデアといった緊張関係の中で制作をするアーティストのあり方などを問うという。

 村上さんはこれまでも、会社組織を作ったり、自作のキャラクターをブランドとして商品化したりすることで、アートと社会との新しい関係を生み出してきた。今回は図録を美術館と共同制作し、作者側にも著作権料が発生する仕組みも検討中という。

 村上さんは「コンサバティブ(保守的)な考えでは出来ないことをしたい。激怒されたり、不謹慎といわれたりするかもしれないが、大きなチャレンジとなるだろう」と話した。

 ニューヨークで05年に開いた「リトルボーイ」展では戦後日本文化を描き出し、欧米が期待するエキゾチックな日本ではない「自分の思うリアリティを表現する」(『芸術起業論』)ことを達成したという村上さん。新たな挑戦は、表現者の権利を通し、アートと産業との関係をも問い直すことになりそうだ。

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