現在位置:asahi.com>文化・芸能>文化>文化一般> 記事 国立西洋美術館が世界文化遺産に?2007年08月11日11時27分 フランスの建築家ル・コルビュジエ(1887〜1965)が設計した、東京・上野の国立西洋美術館(59年完成)を世界文化遺産に、という構想が進んでいる。東京では大規模な「ル・コルビュジエ展」も開催中だ。このモダニズム建築の巨匠が何者だったのかを、日本との関係も含めて考える機会になっている。
◆仏が構想、文化庁も前向き 文化庁によると、仏政府が欧州中心に7カ国23件のコルビュジエ建築をまとめて同国枠で世界遺産に推薦することを検討。参加打診を受けた同庁も前向きに考えている。国内の建造物が世界遺産になるには重要文化財であることが必要だが、同館は未指定。指定には完成後50年以上という目安があるが、例外的に前倒しも検討しているという。 ル・コルビュジエは、20世紀初頭に、鉄とガラスとコンクリートによる箱形のモダニズム建築を確立した一人。ピロティ、水平に連続する窓といった「近代建築の5原則」を唱えた。壮年期には、こうした要素を備えた住宅の名品を生むが、後年にはロンシャン礼拝堂(55年)など、曲線的、彫塑的な表現へ大きく「逸脱」していった。 東京・六本木の森美術館で9月24日まで開かれている展覧会は、その「謎」を考えるヒントを与える。 集合住宅ユニテ・ダビタシオンや休暇小屋の内部空間を実物大で再現するといった展示の一方、美術展かと見まがうほど多くのコルビュジエ作の絵画を展示、画家の側面に強く光を当てているのだ。 関連シンポジウムでは、建築家・伊東豊雄さんが「画家としてもデザイナーとしても一流で、それが積層している。自由と豊かさを求め、常に何かを変えてゆく精神が魅力」と話し、同・青木淳さんも「近代建築の原則からはみ出してゆくところが日本人には面白い。感覚の論理で空間を生み出した」と語った。 近代からの逸脱――。つまりコルビュジエは、ポストモダンをあらかじめ内包していたのであり、近代の中心地から遠い日本では特にリアリティーがある、ということか。いや、ポストモダンを含め、常に変化を求める姿勢こそが「近代の特質」だと考えれば、やはり彼は近代の巨匠そのもの、ということにもなる。 国立西洋美術館の青柳正規館長も同じシンポで、こう話した。「文化には地域のアイデンティティー以外にも、時代のアイデンティティーがある。コルビュジエの建築群が世界遺産になれば、20世紀の文化のあり方を証明するものになる」。西洋美術館がその列に加わるとき、東京・都心に世界遺産が誕生する。 PR情報 |