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「赤穂浪士討ち入り」掛け軸 聖書の版画を大胆に模倣

2007年09月15日11時41分

 赤穂浪士の討ち入りを題材にした江戸後期の掛け軸が、その100年以上前にオランダで作られた新約聖書のキリスト生誕を描く銅版画を「下絵」にし、ほぼ同じ構図で描かれていた――。神戸市立博物館の岡泰正学芸員(53)がそんな研究をまとめた。鎖国期にもかかわらず西洋美術を学び、その手法を積極的に取り入れた江戸後期の画家の先進性を示す例と言えそうだ。

 討ち入り図は、江戸の洋風・銅版画家の安田雷洲(やすだらいしゅう)の「赤穂義士報讐図」(山形県酒田市の本間美術館蔵)。「下絵」とみられるのはオランダのアルノルト・ハウブラーケン(1660〜1719)作「羊飼いの礼拝」。マリアを大石内蔵助に、幼いキリストを吉良上野介の生首に置き換えたように見える。

 岡さんは過去に、安田の作品の構図や陰影が日本離れしていることから、聖書の場面に由来するのでは、と仮説を立てた。岡さんの依頼でオランダの銅版画研究者アド・ステインマンさんが調査を進め、ハーレム市の「オランダ聖書協会」が収蔵する新約聖書の挿絵に行き着いた。分厚い聖書が解体して1枚の版画となり、江戸時代に長崎の出島を通じて輸入されたようだ。

 岡さんは「鎖国時代に、これまでにない迫力を持つ新しい討ち入りの図を描くために、おそらく意味がわからないながらも聖書の版画を大胆に模倣したのでしょう。江戸の画家の意欲は驚嘆に値する」と語る。岡さんの論文は最新号の「国華」(朝日新聞社)で紹介している。

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