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「ニューエイジ」に警戒強めるバチカンの報告書邦訳

2007年10月09日10時52分

 約10億のカトリック信者を抱えるバチカン(ローマ法王庁)が、教会離れを促す一因とも見られる社会現象「ニューエイジ」に警戒を強めている。日本ではこのほど、法王庁の調査チームが発表した報告書の邦訳が出版された。「教会に対する挑戦」というニューエイジとは――。

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『ニューエイジについてのキリスト教的考察』

 「新しい時代」を意味するニューエイジは、70年前後から米国で起こった宗教的な潮流。特定の宗教とは関係なく「本当の自分」を見つけようとする考えや実践の総称で、見えない何かにつながる感覚(スピリチュアリティ)がしばしば重視される。

 瞑想(めいそう)やヨガ、セラピー、東洋医学、さらには地球を一つの「生命体」と見なす環境運動までさまざまな形をとる。研究者の間では近年、従来の宗教の枠に収まらない宗教意識の表れとして注目されている。

 衣食住が一通り満たされた先進国を中心に展開、日本でも「精神世界」として70年代後半から広まった。最近、「スピリチュアル」と呼ばれる大衆文化にも、この流れをくむものが多く含まれる。

 日本のカトリック中央協議会が出したのは『ニューエイジについてのキリスト教的考察』。原文は法王庁の文化評議会などが03年にまとめたもので、もともとは聖職者に向けた内容だ。ニューエイジが一部の信者に影響を与えているとの危機感もあり、「真正なカトリックの教理」を見失わないようにと呼びかけている。

 興味深いのは「ニューエイジ的宗教性の魅力を見くびってはなりません」と警告し、人々の「心の渇き」に応えてきただろうかと自らを振り返っているくだりだ。

 「ニューエイジの成功は、教会に対する挑戦ともなっています。人々は、キリスト教が自分たちの本当に必要とするものを与えてくれない(あるいは少なくとも与えてくれなかった)と感じています」。そのうえで、「人々の心の中のしばしば声を発することのない叫び声を理解すること」が必要と説いている。

 現代は「真の意味での権威」が失われたとも述べている。「人々はさまざまな制度に『帰属』する必要をますます感じなくなりました(にもかかわらず、孤独は現代人の大きな悩みの種です)」。地縁・血縁の共同体が壊れゆく日本では宗教者だけでなく幅広い層の関心を呼びそうな話だ。

 バチカンは04年に各国代表を集め、ニューエイジに関する会議を開くなど情勢分析を進めている。会議に参加したカトリック中央協議会の岩本潤一研究員は個人的な見解として、こう語る。

 「ニューエイジに吸い寄せられる人には、教団宗教に対するアレルギーがある。その事実を直視しなければいけない。今回の報告書は、自己批判としてのニューエイジ批判と言えるだろう」

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