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「東京はジャングルのよう」 北京五輪スタジアム設計者が来日

2007年10月31日16時06分

 北京に姿を現した、オリンピックのメーンスタジアム。その設計者が、スイスのジャック・ヘルツォークさん(57)とピエール・ド・ムーロンさん(57)による「ヘルツォーク&ド・ムーロン」だ。2人は今年の世界文化賞受賞を機に来日、「建築の現在」について、ヘルツォークさんが語った。

写真建設が進む、北京五輪のメーンスタジアム「国家体育場」=北京市内で、07年夏、中田徹撮影
写真ジャック・ヘルツォークさん(右)とピエール・ド・ムーロンさん
写真プラダ・ブティック青山店

 生年月日が20日ほどしか違わず、バーゼルの約200メートルしか離れていない家で育ち、幼稚園から大学まで同じ、という2人。日本で最も知られている作品は、東京の「プラダ・ブティック青山店」(03年)だろう。ひし形のガラスが組み上がった水晶のような姿は、一度見たら二度と忘れない。

 彼らは、ロンドンの現代美術館「テート・モダン」(00年)など、場所の文脈からヒントを得た柔軟なデザインで知られている。

 「でも、東京では考えなくてもよかった」とヘルツォークさん。「多くのビルが文脈に関係なく、何でもありの勝手気ままに立ち、ジャングルのようだ」

 そこで欧州都市を思わせる広場を作り、水晶塔のような建築を据えた。装飾のようなひし形の窓枠も、内部のチューブ状の部屋も、建物を支える「構造」になっている。最新の構造解析技術のなせるわざだ。

 北京のスタジアムでも、空間と表現と、網の目のような鉄材の構造が一体化している、という。では、そこでは何を表現したのか。

 「欧米と同じことができる、と示す国家プロジェクトだと意識した。同時にグローバルなプロジェクトである、とも。中国らしい意匠を使うことはしていないし、イデオロギーとも無関係だ。でも、中国の人たちから『鳥の巣』という愛称がつけられたのだから、受け入れられたのだと思う」

 2人の作品を含め、建築デザインは今、コンピューターの進展に伴う構造解析により、大きく変わりつつあるようにも見える。

 「確かに、ありとあらゆる形が、実物大でプリントアウトできてしまう。それは素晴らしいが、スペクタクルなものがすぐにコピーされて世界にはびこり、逆にすぐに退屈なものになってしまう。コピーのスピードから逃れるためにも、スタイルを固定しないようにしている」

 鉄とガラスとコンクリートによる、垂直の壁に水平の床・天井という四角い箱形のモダニズム建築が確立されて、ざっと100年。床と壁がひとつながりになった建築や、ねじれたような空間が現れている。2人を含む現代建築家たちの手で、モダニズム空間はついに変わるときがきたのか。

 「いや、もうすでに変わっている。モダニズムは今も強力だが、違う局面に入っている。70年代以降の、ポストモダンや脱構築などの動きは結局は大差なかったけれど、今はもっと自由度が高い。良くもあり、悪くもあるのだけれど」

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