現在位置:asahi.com>文化・芸能>文化>文化一般> 記事 読めない本・題材は水… デザインって何?2007年12月12日15時17分 「デザイン」という言葉は、ポスターや工業製品、建築、服飾、さらには生活、都市や国家計画にまで使われる。どうやら、色や形を決めるだけではなさそうだ。いま、「デザインとは何か」を考えるきっかけになりそうな展覧会が重なっている。
●人や社会との関係考える 東京・板橋区立美術館が取り上げているのは、イタリアのデザイナー、美術家のブルーノ・ムナーリ(1907〜98)。約300点に及ぶ展覧会が来年1月14日まで開かれている(滋賀県立近代美術館、愛知・刈谷市美術館に巡回)。 製品のデザイン、家具、映像、と活動は多岐にわたるが、今回は晩年まで一貫して手がけた「本」を軸に紹介している。45年にページに付いた窓を開ける「しかけ絵本」を7冊出版。その楽しさに驚いていたら、50年からは「読めない本」のシリーズが始まる。 本の形はしているが、文字はほとんどなく、鮮やかな色彩のページが色んな形をしていたり、穴が開いていたり、糸が付いていたり。楽しさ、面白さを超え「言語情報なしで、デザインは何を伝えられるのか」という思考実験といえる。 柔軟な発想力は「旅行用彫刻」でもいかされる。切り紙と折り紙の技法を駆使し、本のようにたたんで携帯できる彫刻だ。松岡希代子・学芸員は「ムナーリの表現には、生活に芸術をいかに取り込めるか、といった側面があります」と話す。デザインはその手段であり、デザイン自体も芸術ということだろう。 東京都港区の「汐留イタリア クリエイティブ・センター」でも同27日までムナーリ展を開催。美しい展示で家具などが楽しめる。 同区の東京ミッドタウン「2121デザインサイト」では同14日まで、「water」展が開かれている。デザインは社会や自然にどんな方向性を示せるかを、「水」を題材に考える試みで、グラフィックデザイナーの佐藤卓さんが、文化人類学者の竹村真一さんの協力と、多くのデザイナーや写真家、研究者の参加を得て、企画した。 皿の上で転がる水滴を楽しんで物理的特性を知ったり、牛丼やざるそばを作るのにどれだけ水が必要かを自動発券機形式で伝える展示で社会背景を考えたり。落下する水滴を上下反転して投影する表現もある。 佐藤さんは「水には面白い面と、シリアスな面があり、デザインという切り口で取り組むべき対象」と話し、竹村さんも「デザインには見えないものを可視化する課題もある」と説く。 デザインでは、モノや考え方と、人間や社会とをつなぐことが重要――。ムナーリ展とwater展を見ると、そう思えてくる。 PR情報 |