現在位置:asahi.com>文化・芸能>文化>文化一般> 記事 辺見じゅんさんが歌誌「弦」を創刊2007年12月19日11時59分 歌人辺見じゅんさん(68)が結社歌誌「弦」を創刊した。会員の出詠執筆にとどまらず第一線の文化人による寄稿や、父で角川書店創業者、俳人・国文学者でもあった角川源義(1917〜75)が残した短歌や遺品の書簡なども紹介する。創刊号では作家堀辰雄が源義にあてた未公開書簡を掲載、戦争直後の文壇の息吹を伝えている。
戦後文壇の熱気も再現 『男たちの大和』など実録作家としても知られる辺見さんだが人生は「歌人として終えたい」という。「その支度が『弦』。言葉を奏でる楽器の弦、文芸の閉塞(へいそく)状況を穿(うが)つ弓の弦のイメージを重ね名づけた。小さいながらも文化総合誌を目指す」と話す。 目玉となる堀の書簡は、母照子さん(04年没)から託された、父と文壇との熱い関係をあかす遺品の一部だ。父・源義は45年に28歳で角川書店を創立。『堀辰雄作品集』『昭和文学全集』などを相次ぎ発刊し戦後出版界の風雲児となった。 45年11月21日付の手紙で堀は「リルケの全集は是非やつていただきたい」「テエヌの全集はどうでせうな」「メリメの全集は(略)新しい角度から見直すやうに」などと記す。 また46年2月15日付の別便では、源義氏が構想中の雑誌に対し、「折口先生の小説、いただけないかしら。僕は『伊勢物語』の現代訳でもやつて見ませう」と提案。随筆の筆者として永井荷風、柳田国男、斎藤茂吉、武者小路実篤らの名をあげ「どんどん頼んだらどうです」などと、若き編集者への期待感も伝わる。 「特に昭和20年代の書簡を中心に紹介したい。焼け野原と空しかなかったあの時代に、出版人と作家がどんな思いで日本文化の再興を念じて燃えたか。その文学者群像を再現したいのです」と辺見さん。次回は阿部次郎を予定。高名な作家が父を激しく非難する手紙なども、差出人の名を伏せて掲載したいという。 地方からの発信を掲げて発行所を父祖の地富山に置く。一部の大手書店で入手可。1000円。次号は来年2月刊。連絡先076・433・7308(弦短歌会) PR情報この記事の関連情報 |