現在位置:asahi.com>文化・芸能>文化>文化一般> 記事 「+α」で現代の空気に迫る写真展 「スティル/アライヴ」と「写真ゲーム」2008年02月13日15時29分 押せば写る。最近のカメラは、シャッターを押しさえすれば、素人でもかなりの質の写真が撮れるから、「プロ」は差別化が大変。「+α」を加えている。開催中の2写真展で、その好例が見られる。 ひとつは「スティル/アライヴ」展。開催館の「日本の新進作家」と銘打つ企画展の6回目で、伊瀬聖子、大橋仁、田中功起ら69年生まれから75年生まれまでの4人を選ぶ。 その一人に屋代敏博(70年生まれ)。各地の銭湯を撮った連作で知られたが、今回は「回転回LIVE!」と呼ぶシリーズの39点に絞った。幼児用機関から大学までの「学校」に出向き、生徒や学生に立ったまま数回転してもらう。それを撮ると、あたかも人や未確認物体が高速で回転したように写る。「相武台高校 卒業式会場」(07年)など、回転体に混じって、奇妙な衣装の作者自身が写る作品もある。 「回転して 風景に 溶け込む」と屋代は書く。確かに、回転体は、個性や属性を失って周囲に溶け込むようではある。しかしむしろ、強烈な「異化」作業を開始する。逆に存在を主張することで、「場」の性格や空気を浮かび上がらせる。 もう一つは「写真ゲーム 11人の新たな写真表現の可能性」展。屋代は、こちらにも選ばれていて、個人宅への「出張回転」なども並べる。ほかに、折元立身、北野謙、城田圭介、石川直樹、八田政玄ら、46年から78年までに生まれた最前線の作家たちで、計約260点の構成だ。 その一人土屋紳一(72年生まれ)の「SCAN」の連作5点は、西欧都市の風景。「ロンドン」(06年)に見るように、水墨の掛け軸の趣である。しかし実は、対象とする都市で一定の経度を決め、南から北上しつつ撮り続け、50の像を選んで重ねている。解体と再構築による都市の断層写真。重層構造が、街の病理や疎外感まで感じさせる。 同展の前沢知子の発表は、カメラ5台を用意して鑑賞者に貸し出し、制作に加わってもらう。いわゆる「参加型作品」である。翻って、ふと思う。屋代らも含め、「+α」の多くは当分、そんな開放的様相を示すだろう。 PR情報 |